読書

【読書メモ】中田敦彦『勉強が死ぬほど面白くなる 独学の教科書』

中田敦彦さんの『勉強が死ぬほど面白くなる 独学の教科書』という本を読んだ。結構最近(2019/11/27)発売された本である。

タイトルの通り、中田さん流の独学方法について書かれている。

中田さんは最近Twitterで炎上してたらしい。間違った知識をyoutubeで垂れ流していたとか。中田さんがyoutube動画を作成する際にどの様に情報を集めているのかについて考察されたりしていたが、そこについても述べられていた。

以下は、この本を読んで私が考えたことのメモである。

学ぶ環境は整っているが、魔境である

現在、「学びたい」という欲求さえあれば、いくらでも自分で学べる環境がそろっているのです。

これからの時代、「独学ができる人」と「独学ができない人」の間にかなり大きな差が生まれる。僕は、そう考えています。

これに関しては私も同感。ただし注意する点もあると思いう。

「いくらでも自分で学べる環境がそろっている」の根拠として

  • 勉強のためのブログやメルマガが豊富
  • 紙の本もAmazonなどのおかげで入手しやすくなった
  • 教育系youtuberの登場

などが例として挙げている。

「ブログやメルマガ」や「教育系youtuber」により発信される情報は眉唾ものが多く、取捨選択する能力がないと、これらの環境から受けられる恩恵は小さくなる。マイナスになることさえあり得る。

「独学する人としない人」でも差が開くが「正しく独学できる人とできない人」でもまた差が開くだろう。

「YouTube大学」の裏側

一本の動画を作成するためにどのようなインプットをしているのか。次のように書いてある

 まず、取り扱うテーマを決めたら、そのテーマついてネットの情報を検索するだけでなく、関連図書を1~2冊程度読みます。このとき、仲間のスタッフさんにも資料を用意してもらうこともあります。
この段階で情報が少ないと感じた時は、さらに追加で資料を探す場合もあります。反対に、情報が十分だと判断すれば、読書を一冊で切り上げたりもします。

ネット上では「一冊の本だけ読んで、それを垂れ流しているだけだから内容薄かったり、偏っていたりする」とか言われているが、一応復数冊の本を読んでいるらしい。

ただ、「情報が十分だと判断すれば、読書を一冊で切り上げたりもします」とのことだが、一冊しか読まない段階で、情報量の過不足について正しく判断できるのかという点について疑問である。何冊か読まないと、一冊の本でどこまで網羅しているのかなんてわからない気もするが…

「池上彰の後釜を狙っている」という噂について

後釜を狙っているかはわからないが、「Youtube界の池上彰」のポジションを狙っている事は確かな模様。

じつは、僕は「YouTube界の池上彰」を狙っていて、池上さんに対しては、大きな尊敬の念を抱いています。

ちなみにこんな事も書いてある。

池上さんは、僕と比較すると圧倒的に広い知識のバックボーンがあります。しかも、1つの事象に対する解釈が非常に多面的でありながら、コメントは常にフラットで安定感があるという離れ業のようなトークスキルをお持ちです。

「コメントは常にフラット」

せやろか?

結構傾いている印象が私にはある。あれを「フラット」だと思っているのなら、注意したほうがいいかも。

それとも「池上彰さんの番組は偏っているけど、池上彰さんのコメントだけ見ればフラット」ということか?最近は池上番組をあまり見ないので思い出せん。今度視聴する機会があれば確認してみよう。

「僕と比較すると圧倒的に広い知識のバックボーンがあります」については、年に差もあるししゃーない。知識は積み重ねだから、生きてきた年数が短いほうが不利である。

中田敦彦は読書が苦手

僕は本を読むのは苦手です」「文字を読むこと自体は苦痛だったりします」などと書いてある。

しかし、教養を勉強するのは好きだし、身につけた知識を人に話すのは大好きとのことだ。

僕は、話すのが大好きな人間です。どうせ話すなら、相手を感心させたいとか、驚かせたいという気持ちを強く持っています。そのために必要だと思えば、本を読み込む苦痛も我慢できます。
本を読んでいる間は苦痛ですが、 それを自分の知識として落とし込んで人前で話している時間は、とてつもない快感です。
一度人に話す気持ちよさを味わうと何度でもまた味わいたいと思います。その楽しさを思うと、苦痛な読書も頑張ることができます。

「読書は嫌いだけど教えるのは好き」というのは少し危険かもしれない。十分な情報をゲットできたと思った瞬間、それ以上学ぶことをストップしてアウトプットに傾倒してしまいそうな気がするのだ。

そうなってくると、巷で言われているような「内容が薄い」「内容が偏っている」という事態に繋がりかねない。

一つの本から学んだことだけをアウトプットする事自体は悪くないと思う。ただし、中田さんの動画の場合、「俺はこの分野の知識いっぱい持ってるぜ」感が動画タイトルやサムネからプンプンするので、「まさか本一冊がソースかよ」みたいな感じになりそうな気がする。

動画内でも「この本の内容です」と言って入るものの、その裏で何冊も読み込んでいることを期待してしまう。なんたって「大学」を名乗っているのだから、厚めの情報が得られるのかなと思ってしまう。

「もうちょっとあっさりした感じですよ」感を出せれば、ああいった批判もなくなると思う。まあ、本人が気にしていないのなら、批判なんて放置しとけば良いんだろうけど。

とりあえず、「YouYube大学」に対して、あまり情報の密度を期待しないほうが良いと思う。ある程度情報リテラシーがある人が、未知の分野の取っ掛かりに活用する分には優れていると思う。エアロバイク漕ぎながらダラダラ見たりには良さそう。

どこにも忖度しないメディアは存在しない

僕が一番お伝えしたいのは、「どこにも忖度しないメディアなんて存在しない」ということ。
どんなメディアでも「利益をあげる」という目的がある以上、しがらみが生じるのは自然の摂理です。それを頭ごなしに否定するより、受けて側、冷静に判断する目を持つことのほうがはるかに重要です。

これは私もそう思う。

テレビなら、

  • テレビ局
  • 出演者
  • 広告スポンサー
  • 株主そん

など、いろんな人間の利益が絡んでいる。どれかを蔑ろにすれば、テレビといいうメディアは成立しなくなってしまうだろう。これはテレビに限らない。

自分のやりたいことを通すために、忖度っぽいことをするのは人間社会に生きていれば仕方のないことだ。金持ちへの忖度は資本主義社会において重要なサバイバルテクニックでもある。そういうもんだと分かった上で、情報を取捨選択しなければならない。

だたし、「忖度OK!ガンガンやれ」というものではない。「忖度するな」という圧力も程々に必要だと思う。そうしないと過剰な忖度に溢れてしまうかもしれない。

適度に圧力をかけつつ「仮に忖度があっても俺は見抜けているから大丈夫」という感じでやっていきたいところだ。

歴史は繰り返す -偉人の「しくじり」に注目する-

偉人と呼ばれる人たちも、何かしらの「しくじり」をしているものである。「しくじり」がきっかけとなり、歴史が動いた例も多い。

そんなわけで、「偉人のしくじり」から学びを得ることについてこの本でも推奨している

また、「歴史は繰り返す」ので、歴史から失敗について学ぶのは有益だ。

経済についても「経済成長 ➔ バブル崩壊」の流れを何度も繰り返し、世界経済は緩やかに成長してきた。現在世界経済は好調だが、いつ暴落するかはわからない。

しかし、過去の愚かな人たちは「今回の相場は違うぜ!」とか言って、好調時にリスクを考えずに資産を投じてきた。そして、バブルが崩壊し大損をこく。

愚かな人たちは歴史に学ばず、今回も相場が崩壊した時に大損をするのだろう。これは日経平均などだけでなく、個別銘柄についても同様の流れがある。

経済や投資についてだけでなく、政治や行政などについても、過去の失敗を研究する価値はあるはずだ。

節目の年号を覚えておくと、歴史の学習が楽になる

節目の年号を覚えておくと、歴史上の出来事と年号をセットで目にした時、それが何時代なのかすぐに把握できるというメリットがあるのです。

なるほど、これは使えそうだな。

節目の年号を覚えておけば、「この出来事は〇〇時代と××時代の間の出来事なんだな」といった具合に考えることができる。そうすれば、ある出来事の時代背景などについてイメージしやすくなるはずだ。

この本では、古墳時代から平成までの、その時代が節目の出来事が起こった年について覚えよう、と推奨されている。全部で12個だ。

ちなみに私も似たような感じで、時代の流れを把握することがある。私の場合はプロ野球が好きなので、プロ野球の出来事が起こった年を使って、時代背景を理解するのに役立てていた。

せっかくなので、よく使う年と出来事を紹介しよう。野球に興味がない人は飛ばしたほうが良いかもしれない。野球好きならそのまま使えるので便利だぞ!

1950年 セ・パに分裂してから初めてのシーズン。松竹ロビンスが水爆打線でセ・リーグ優勝。小鶴誠161打点。
1958年 長嶋茂雄がセ・リーグ新人王。川上哲治引退。
1965年 巨人のV9が始まる。金田正一が巨人移籍一年目で最優秀防御率獲得
1974年 巨人がV10を逃す。長嶋茂雄引退。川上哲治監督が退任。
1986年 落合博満が3度目の三冠王を獲得、そしてトレードで中日に移籍
1994年 オリックス鈴木一朗が「イチロー」に登録名を変更、初の首位打者を獲得。
2001年 イチローがメジャーデビュー。首位打者などに輝く。
2006年 WBC第一回大会で日本が優勝。新庄剛志が引退
2013年 楽天が日本一。

こんなもんかな。

たとえば

「1989年に平成が始まったのか。落合が中日に移籍した年から、イチローが初の首位打者取るまでの間だな。この辺で落合が中日移籍後初タイトルを取ってたな。クロマティが首位打者とったのもこの辺だったかも。他にも(中略)そういう時代かー、結構昔だなー」

といった感じに時代を肌で感じ取れると思う。

野球じゃなくても、サッカーが好きならサッカー年表を、相撲が好きなら相撲年表を作って節目の年がいつだったか覚えておくと、現代史を理解するのに役に立つと思う。

『勉強が死ぬほど面白くなる 独学の教科書』まとめ

著者の中田敦彦さんの独学ノウハウについて色々と書かれている。歴史(日本史・世界史)について特に力を入れて書いてあった。これらの科目の勉強法に悩んでいる方は購入してもいいと思う。

私は理系なので、その方面の勉強法については書かれていなかったのは少し残念。『独学の教科書』とあるが正しくは『文系科目の独学方法』といったところか。

ありとあらゆる科目に共通する勉強方法というよりも、中田さん自身が勉強している分野に特化した内容になっていると思う。もちろん、読者の工夫次第でいろんな科目に応用することはできるだろうけれど、理系人間が「自分の科目に直接適用できる勉強法を手っ取り早く知りたい」と思っているのなら、期待はずれかもしれない。

理系っぽいところで言えば5Gに関する事にもサラッと触れている。文系の中田さん流に5gについて解説しているので、「俺文系だから5Gとかよくわかんねぇよぉ;;」みたいな人なら、読む価値があるかも。AI分野の勉強法についても書いてある。