昨日(2022年3月20日)、品質管理検定、通称QC検定と呼ばれる試験の3級を受験してきました。これは品質管理に関する知識を確かめる試験で、製造業などに務める方が受験する場合が多いです。
私も製造業に分類されるところに努めていて、こっちにきてから1年ほど経ちました。この資格の勉強を行うことによって知識や業務への理解を深めつつ、新しい周辺知識の獲得を狙って受験することにしました。概ねこの目的は果たせたと思います。
こちらのサイトで自己採点したところ102問中93問正解していました。正答率は約91.2%です。合格ラインは70%くらいなのでまあ合格してると思います。
ただ、先程のサイトに載っている解答は少し誤っているところがありそうです。速さ重視で正確さは保証しないとのことなので仕方のないことです。
さて前置きが長くなりましたが、当記事の目的は昨日受験したQC検定3旧を解き直すことです。試験では制限時間があるためじっくり考えることができないので、ゆっくり調べながら解き直すことで、理解を深めたり周辺知識を獲得したりすることを狙います。
自分だけではなく、他にQC検定を受験した人やこれから受験する人にも役立つように、なるべくわかりやすい記述を目指します。これは自分自身の勉強としても役に立つ行為だと思っています。
私の力不足ゆえ、内容の正確さは保証できません。その点の理解をお願いいたします。
また問題文を掲載するとめんどくさいことになりそうなので、解答だけ載せます。
目次
問1 データの扱い方や種類に関する問題
アアイイウウエ
データの対象となる全てのデータのことを母集団といいます。例えば何かしらのチップを製造していたとして、10000個製造したならこの10000個が母集団となります。
このチップの出来栄えをチェックしようとしたとき、10000個全てを検査しようと思うと大変なので一部(例えば100個)を抜き取って検査を行い、そこから得られたデータをもとに全体の出来栄えが安定してそうかを推測する、ということを行います。
これが問題文で言うところの「サンプルを抽出する」という作業であり、母集団からサンプルを抜き出す作業をサンプリングといいます・なので、(1)はアです。
抜粋検査は抜き取って検査すること。この問題では抜き取るだけで検査してないので×です。工程管理は全く関係ないかな。
「強度や温度などのように量を計測して得られるデータ」を計量値といいます。計測して得られるってところがポイントだと思います。なので(2)はアです。
一方で「生産した製品個数の不適合品の数のように個数や件数を数えたデータ」のことを計数値といいます。数を数えて得られるデータというところがポイントだと思います。なので(3)はイです。
中心的な位置を表す指標としては平均値や中央値(メディアン)が一般的です。なので(4)はイです。
ばらつきを表す指標としては標準偏差や分散、範囲もーなどが一般的です。したがって(5)はウです。
③の選択肢にある「モード、レンジやミッドレンジ」についてですが、まずモードとは最頻値のことです。一番良く出てくる値ってことですね。中心的な位置やばらつきを表したりはしないと思います。
レンジは範囲のことです。英語か日本語だけの違いです。
ミッドレンジは最小値と最大値の平均値です。「中心的な位置を表す尺度」に該当すると思います。
規定要求事項を満たしていない品物の数は不適合数で、これの全体に対する割合は不適合品率です。なので(6)はウ、(7)はエです。問題文をよく読めば知識がなくても行ける問題ですね。
問2 正規分布に関する問題
イイイカイ
連続データである計量値データは正規分布に従うことが多いです。なので(8)はイ。離散データである計数値データについては二項分布やポアソン分布に従うことが多いです。
正規分布に従うデータの場合、基準化と呼ばれる計算を行うことでいろいろな確率を求めることが可能になります。基準化の計算は次のuを求めるものです。
u = (x – μ) / σ
xは確率変数、μは平均値、σは標準偏差です。σ2で分散です。この値を求めると問題冊子の後ろの方にある標準正規分布表を使用していろんな確率を求めることが可能になります。次以降の問題で具体的に計算して解説します。したがって(9)はイです。
基準化の作業によってなんでこんな事ができるかというと、基準化を行うことで平均値が0、標準偏差が1の正規分布N(0, 12)に従う値に変換することができます(理屈はよくわかってないので解説できません)。常に標準正規分布を使用して確率を計算するようにすれば、常に同じ分布を使用しているのだから、計算結果を予め表にまとめておけば面倒くさい計算をすることなく確率を求められて便利という感じです。もとの正規分布から標準正規分布へアクセスするための鍵を作る作業が基準化といったところでしょうか。長くなりましたが、以上より(10)はイです。
③の問題は具体的な値を使って標準正規分布を使用して確率を求めてみろ、という問題です。この場合μ=45、σ=2、x = 50となります。これで基準化の計算を行うと
u = (50-45) / 1 = 2.5
u=2.5なので付表から2.5に対応する値を読むと0.0062(0.62%)となります。表の読み方の解説は面倒なので他のサイトや参考書等に譲ります。こちらのサイトなどがわかりやすいです。
この数字が何を表しているかというと、平均値が45、標準偏差が2の正規分布において50以上になる確率は0.62%であるということです。ここまでがテンプレの計算で、よく出るのでこれからQC検定を受ける方などはできるようにしましょう。
つまり、N(μ, σ2)の正規分布において、x以上の値を取る確率を上のような処理で求めることができます。
問題のほうにもどりますが、今回求める確率は50以下になる確率なので注意しましょう。勢いよくアを選ぶと間違いになります。50以下になる確率は100%から0.62%を引けば良いので答えはカの0.9938となります。
データがμ±1σに入る確率ですが、μ=0、σ=1とすると付表から求めることができます。N(0, 12)において、μ+kσ以上の値を取る確率を求める場合、基準化値u=kとして変換し、付表を読み取ることで確率を計算できます。
μ+1σ(k=1)以上になる確率は付表より15.87%とわかります。正規分布は左右対称のグラフなので、μ-1σ以下になる確率も15.87%です。合計すると31.74%ですね。これはμ±1σの範囲外になる確率と同じです。
求める確率はμ±1σの範囲内に入る確率なので100-31.74=68.26%となります。四捨五入して68.3%、したがって(12)はイとなります。
このように計算で求めることができるのですが、μ±1σ、μ±2σ、μ±3σに入る確率はよく出てくる話題なので暗記しとくと便利だと思います。それぞれ68.3%、95.4%、99.7%です。ただし、過去問を見るとμ±4σの範囲に入る確率とかを求めてくる場合があるので、この場合は暗記だけだと解けません。余裕があるなら計算方法も理解しておくと良いでしょう。
問3 相関に関する問題
ウイエオイアウ
①の散布図は上に凸の曲線になっています。曲線の場合、相関係数は0に近いものとなります。正の相関部分と負の相関部分に分けられるので打ち消し合ってるのだと思います。したがって(13)はウ、(17)はイとなります。
②の散布図はきれいに一時相関がありそうです。傾きはマイナスなので負の相関ですね。相関係数は-1に近いものになるはずです。したがって(14)はイ、(18)はアです。
③の散布図を見ると、集団が2つに別れていることがわかります。左下の集団は数が少ないので外れ値として処理するのがいいと思います。外れ値を取り除いて、右上の集団だけを見てみると、四方八方に値が散らばっているので無相関に見えます。ただ外れ値のせいで遠目にみると一本の直線でそこそこ捉えることができそうで、その直線の傾きは正なので、相関係数は1に近くなりそうです。したがって(15)はエ、(19)はウだと思います。
ただし、相関係数が1に近いので(19)についてはアの「正の相関がある」も間違いではないので、なんとも微妙です。統計データを見るときは外れ値は取り除くのが基本なので、エのほうが品質管理的な態度としては正しいと思います。
問4 特性要因図に関する問題
エオウアイ
(20)については直前の「メンバーで話し合うことができないのが原因」というところがポイントだと思います。これだけで入る場所がaかbかに絞られます。aのほうは「上司」にピンポイント対応した話題であり、「メンバーで」という部分に噛み合わないです。なのでコミュニケーション不足の原因としてこの話題が挙げられていると推測できます。したがってdにはいるので(20)はエです。
(21)については「モチベーションが上がらない」「やらされ感がある」などと書いてあるので、「やる気が起きない」の原因として話題になっていると推測できます。なので(21)はオです。
(22)については「業務に集中できない」とあるので「業務に専念できない」に対応していると推測できます。なので(22)はアです。
(23)については「上司が忙しすぎて相談しづらい(意訳)」的なことがかいてあるので、「上司」「相談できない」の枝に対応すると推測できます。なので(23)はアです。
(24)については「標準化されていないため、誰がやるかでばらつきが出る(意訳)」と書いてあります。業務のやり方に関する話なので「業務プロセス」の枝に関連するものでしょう。標準化すれば、同じ手法で業務を行うのでばらつきは減ります。ばらつきが減れば業務は安定化するので、誰かのやらかしによる作業の巻き戻しなどもへり業務は効率的になります。逆に言えば標準化していないと無駄が生じ、作業効率が悪くなることが予想できます。なので(24)はイです。問題が5個、選択肢も5個なので他の問題が解けていれば何も考えてなくても答えられます。
問5 グラフを読む問題
ウアエアウ
まずは表とグラフの対応を考える問題です。グラフは全体に対する1~4級の割合が示された帯グラフです。グラフの1級のところだけ見ると数値がかぶっているものはないので、1級の割合だけ計算すれば問題は解けます。全部計算するのは時間のムダとなります。
工場A~Cについて全体に対する1級の割合を求めると、A工場は34.0%、B工場は25.0%、C工場は27.5%となります。この割合は1級の個数を合計個数で割って100をかければ求められます。
工場Aのグラフは1級が34.0%になっているグラフなのでウです。なので(25)はウとなります。
工場Bのグラフは1級が25.0%になっているグラフなのでアです。なので(26)はアとなります。
工場Cのグラフは1級が27.5%になっているグラフなのでエです。なので(27)はエとなります。
1級の割合が一番多い工場は当然Aです。なので(28)はアとなります。
次に求めるのは1級の割合と4級の割合の比です。つまり
1級の割合/4級の割合
を求めます。
A工場は34/30=1.13、B工場は25/35=0.714, C工場は27.5/20=1.375となります。この中で一番値が大きいのはC工場なので、(29)はウです。
ただ、「AとBの比が大きい」という表現を使う場合、AとBがどれだけ離れているかが重要で、どっちが分母でどっちが分子に来るかは重要でないこともあります。その場合大きい方を分母、あるいは小さい方を分母に固定して考えると思います。
その場合、B工場の比を計算する際25/35ではなく35/25を使うのが正しいです。この場合1.4となりB工場が一番比が大きいとなります。すると正解はウではなくイです。もうちょっとわかりやすい問題文にしてほしいですね。
問6 工程能力指数に関する問題
アウアアイエアア
「安定した工程が持つ特定の成果に対する合理的に到達可能な能力」は工程能力です。「安定した工程」とはばらつきが小さい工程ということです。したがって(30)はアです。
生産能力はどれだけ大量に生産できるのかを表す能力です。標準偏差はばらつきの指標です。
特性の分布が正規分布に則る場合、平均値±3σの値が規格内に収まっているかどうか、収まっているとしてどれだけ余裕を持って収まっているかで工程能力の有無を判断します。規格が片側にしかない場合や、両側規格でも平均値がどちらかの規格側に寄っている場合、片側3σだけを見ます。
問題では標準偏差をσではなくsで表現しています。両側規格の場合±3sで範囲は6s、片側企画の場合は3sをみて工程能力を評価するので、(31)はウとなります。
工程能力の評価として次の式を✽用いるのが一般的です。
Cp = (SU-SL)/6σ・・・①
Cpk = |μ – S|/3σ ・・・②
SUは上限規格、SLは下限規格です。μは平均値でSは規格値です。①式は規格が両側についている場合に使用し、②式は片側規格しかない場合か、両側規格の場合に平均値がどちらかの規格に偏っているときに使用してください。
参考書などではCpkを求める式がSが下限規格か上限規格かで場合分けして2つの式として載っていると思いますが、絶対値を取るようにすれば覚える式は一つで十分です。
両側規格で②式を使用する場合、上限規格を入れた場合の値と下限規格を入れた場合の値を2つ求めて、値が小さい方を採用します。もしくはμとの差が小さい方の規格を計算に使います。後者のほうが楽です。
CpやCpkのことを工程能力指数といいます。したがって(32)はアです。
(33)についてはあまり自信がないです。時間序列で品質特性の観測値を打点した図(例えばX ̄-R管理図など)のことをシューハート管理図というようです。私はこの名前を知りませんでした。ただ単に管理図と呼ぶこともあります。
平均値±3σの値をそれぞれ上側管理限界線、下側管理限界線と定義し、データが管理線の内側にいるのか、データの動き方が規則的なのか不規則なのかを見て工程が安定しているか、以上が発生していないかをチェックするために使います。
イの工程能力図は管理図とほとんど同じ形になります。時間序列でデータをプロットする点も同じです。違いは管理限界線の代わりに規格値を入れる点です。かなり似たような頭になるかと思います。
シューハート管理図も工程能力図も「工程能力を表すために主として時間適時順序で品質特性の観測点を打点した図」に該当すると思います。めんどくさい問題です。ただ、問題文の流れとして標準偏差で工程の安定感を見る感じになっているので、管理線として±3σを上側と下側の管理線として採用しているシューハート管理図が答えとして適切なのではないでしょうか。なので(33)はアかな…自信はない。
(34)について、少し前に「十分ゆとりを持って収まっていれば」とあります。Cp<1だと収まってないし、Cp>1でも1に近いあたりでは余裕を持っているわけではないので、Cp>1.67が正解だと思います。なので、(34)はイ。
(35)ついては、「はみ出していなくても規格に対して余裕がないということ」なので(35)はウでしょう。
Cp=1の場合、±6σラインと規格値がピッタリ一致しているということになります。①式において分子である規格幅と分母である6σが一致しているからですね。
一般的に規格幅に対して6σの値が小さければ小さいほど良くて、少なくてもCp=1以上はほしいとされています。1を超えている場合でもギリギリでは不十分とされていて、1.33以上はないと工程能力は不足しているとみなされます。1.33とは8σの余裕を見ているということです。
部品業界などではより低い不良率が求められるため、問題文のようなCp>1.67ないと工程能力が十分であるとみなされないこともあるそうです。これは10σ分の余裕を見ていると言うことになります。
問7 新QC七つ道具に関する問題
イオウエエウアイ
親和図法は多数の項目を類似性でまとめあげるものです。KJ法に近いと思います。(42)は「類似性に基づき整理」という記述があるエです。
連関図法は矢印とかを用いて、物事のつながりを図示するものです。「原因を探索し、目的を達成するための手段を展開する方法」だそうです(参考文献1より引用)。イメージ的にはマインドマップに近いものだと思います。(38)は矢印を使っていてマインドマップっぽい図ということでイとなります。用途については「矢印で結び」という記述が決め手となり(43)はウです。
系統図法は目的をドンとおいて、それを達成する手段をロジックツリーみたいな感じに列挙していくものです。ロジックツリーっぽいやつということで(39)はオです。
マトリックス図法は表を使って問題点を明確にしていくものです。問われているのは用途ですが、「2次元表で整理」という文章が決め手となって(44)はアです。
問題とは関係ないですがアローダイアグラム法は日程計画を表す表です。いろいろな作業を並列的に行う場合にアローダイアグラムを作れば、どれとどれを同時進行できるか、最短でどれくらい時間がかかるか、ボトルネックになっている工程はどれかなどがわかります。
PDPC法は予め予想される障害を想定しながらゴールまでのプロセスを決定するために用います。分岐付きのフーチャートって感じですね。形状についてはフローチャートっぽいやつということで(40)はウとなります。用途については「事前に考えられる不測の事態を予測」という部分が決め手となり(45)はイですね。
マトリックス・データ解析法は、2つのデータを同一グラフにプロットした散布図を見ながら解析する方法です。なので形状は散布図になってるやつということで(41)はエですね。
問8 管理図に関する問題
X ̄-R管理図に関する問題です。エックスバーやエックスバーバーなどをうまく表記できないので、以降エックスバーをX’、アールバーをR’、エックスバーバーをX”と表記します。
問題文からn=4, X”=49.992、R’=1.932です。
X’管理図における上限管理限界線UCLと下限管理限界線LCLは次のように求められます。
UCLx = X” + A2R’
LCLx = X” – A2R’
A2の値は表で与えられます。暗記する必要はありません。n=4よりA2=0.729です。以上の値をもとにUCLとLCLの式に代入するとUCL=51.40, LCL=48.584となります。したがって(46)はキ、(47)はカです。
R管理図におけるUCLとLCLは次の式で求められます。
UCLR = D4R’
LCLR = D3R’
D4とD3もA2と同様に表から読み取ります。ただしn=6以下の場合LCLは存在せず、そのためD3も存在しません。この問題ではn=4なのでUCLだけを求める形になっています。
表よりD4=2.282なのでUCLRの式に代入するとをUCLR=4.409を得られます。したがって(48)はアとなります。
②の問題はデータが何個か載っている表を使用して解く問題です。
まずデータaについて見てみると、X’のデータについてUCLを突破しているデータがあることがわかります。これは異常ありという判定になるかと思います。
それと群Noが大きくなるにつれて値が大きくなっていく傾向にあることもわかります。選択肢の中に「工程平均(X’)が大きくなった」といものがあるのでこれが正解でしょう。というわけで(49)はアです。
RについてはUCLを突破しているデータがああるわけでもなく、データの動きがおかしいということもなく、安定していると言えます。
aについて管理図を作ると次のような感じになります。この手は頭の中に管理図を思い浮かべられるかが大切な気がします。
次にbを見ていきましょう。X’についてはすべてのデータが管理限界線の範囲内に入っていて、変な癖もなさそうです。安定状態と言えるでしょう。
RについてはUCLを突破しているデータがいくつかあります。Noが大きくなるにつれて値が大きくなる傾向も見受けられます。選択肢に「群内変動が大きくなった」があるのでこれが正解でしょう。なので(50)はウです。bの管理図は次のようになります。
Rの値の動きを郡内変動といいます。Rはデータ内(群)でのデータ範囲を表す指標なので、R値の変動は郡内の変動ということですね。対してX’の変化のことを群間変動と言います。平均値は群の中心位置であり、これを比較することで群間の動きを見れる、というイメージでしょうか。
問9 品質管理の考え方に関する問題
キイオウキエ
生産側、企業側の都合で売りたいもの・作りたいものを顧客に押し付けるような態度のことをプロダクトアウトといいます。あまり推奨される態度ではありませんね。したがって(51)はキとなるでしょう。プリインストールアプリもりもりのPCとかがこれに当たりますかね。
プロダクトアウトとは逆に、顧客の目線からスタートして、顧客のニーズ似合うものを作って売ろうという顧客志向の考え方をマーケットインといいます。企業の考え方としてはこちらの態度が推奨されますね。というわけで(52)はイが一番しっくり来ると思います。(53)はオですね。
(54)はウでしょう。ISO9000によると顧客満足とは「顧客の期待が満たされている程度に関する顧客の受け止め方」と定義されています。だいたいニュアンスは問題文とあっているかと思います。
ただ、問題文的には「満足している状態」を示す用語を答えなければならないのですが、顧客満足は滿足している度合を表す指標であり、「顧客が自分のもつ要望を充足している」と感じていなくても、それは顧客満足が低いというだけなのではないかと思うけどどうなんでしょうかね。とはいっても他に選べそうな選択肢もないのでウを選ぶしかなさそうですが…
顧客満足向上のためには、期待以上の勝ちの提供が必要になります。思ったよりしょぼいな、と思われたら満足度は下がるということです。したがって(55)はキです。他に当てはまりそうな選択肢もなさそうです。
(56)については買う前から破棄するまでの、その製品の一生涯にかんする話が直前に書いてあります。なので(56)はエでしょう。製品の性能とかだけでなく、組み立てやすいとか、捨てやすいとか、アフターサービスが充実しているとか、そういった点も大切ってことですね。
問10 品質管理の考え方に関する問題
オウエキアカクウ
(57)について、直前にある「当面の」という言葉から一時的に行う何かが答えになると推測できます。したがって(57)はオの応急対策でしょう
なにか問題が発生した場合はとりあえず応急対策でその場しのぎをしつつ、すみやかに原因を解明して再発防止の策を立てる、というのが一般的な流れです。したがって(58)はウです。
問題の核心となる原因を探るためには、会議室だけでの検討ではよくなくて、現場に行って、現物を見て、現実的な対策を検討する必要があります。これを三現主義といいます。というわけで(59)はエだと思います。「三現主義に基づいて問題に関する事実を観察し」ということで、A氏はおそらく現場にいって現物を観察したということでしょうね。
(60)については「(60)の考え方」という文章になるので、ここに入れて不自然じゃないのはすでに使用している三現主義を除くと重点志向くらいでしょう。というわけで(60)はキです。
なにかの目的達成を目指すとき、いろんなことに手を出してしまうとリソースが分散して非効率です。パレートの法則などが有名ですが、ものごとには核があり、一部の重要なこととたくさんの重要ではないものに分けられることが多いです。大量にある些事はスルーして重要なことに集中する。これが重点志向の考え方です。
(61)については、前後の文章をみると「問題なのは平均値か(61)か」という流れになっています。2つのパラメータが重要で、そのうち1つは平均値となると、この特性値は正規分布に従っていて、もう一つのパラメータは標準偏差であると推測できます。
ただし、解答欄に標準偏差というワードはないので、それと同じニュアンスをもつ「ばらつき」が(61)には入るはずです。したがって(61)はアですね。
(62)はカの要因でしょう。文脈的にここに入って違和感がないのは「カ:要因」か「ク:プロセス」くらいだと思います。プロセスをいれても問題ないような気はしますが、クの選択肢は(63)の方に入れたほうがよりしっくり来るのでここではカを答えとします。
ネタバレ済みですが、(63)はクのプロセスでしょう。品質管理の世界にはプロセス重視という考え方があり、これはアウトプットされた製造物の良し悪しは製造プロセスの良し悪しで決まるというものです。というわけで(63)はプロセスを入れるのが一番しっくりきます。
(64)はウのwin-winでしょう。win-winとはお互いに満足するということ。品質管理の話で使われる場合、企業と顧客が両方とも満足するって意味ですね。問題の文脈的にもそんな感じの話になっています。
問11 品質の種類に関する問題
カオイオウ
品質要素を客観的に評価するための特性のことを品質特性といいます。したがって(65)はカ。
品質特性にもいろいろあります。問題文の例にもあるように、測定による数値化ができないものもあります。数値で表せないと主観的にしか議論できません。ISO9000では「客観的事実に基づく意思決定」を行わなければならないという原則が記されています。つまり誰が見ても同じように解釈できる数値データが必要になるというわけです。
問題にある鉛筆の滑らかさについては、なめらかさを数値で表現することができないということらしいです(えんぴつの知識はそんなにないので、これが本当かはわかりません)。なので、数値データで表せる摩擦係数を滑らかさを表す指標として用いましょう、という流れです。
このように数値データとして得られる指標を、数値データとして得られない指標の代わりにもちいることがあります。代わりに用いられるデータのことを代用特性といいます。したがって(66)はオです。
顧客にとって「これがあればすごく満足だけど、なくても特に困らないなぁ」という品質要素のことを魅力的品質といいます。これがあれば問9で言ってたような「顧客の期待を上回って顧客満足を上昇させる」みたいなことができます。というわけで(67)はイです。
逆に「これがあるのは当然で、あるからといって評価は上がらないけど、なければ不満が爆発する」みたいな品質要素を当たり前品質(ア)といいます。
設計段階での目標となる品質をねらいの品質、あるいは設計品質といいます。狙いの品質を定めて製造した製品が、狙い通りの品質を持っているとは限りません(自分の仕事では持っていないことのほうが多いです)。この実際の製品の現実の品質のことをできばえの品質といいます。以上より(68)はオ、(69)はウとなります。
問12 管理の方法に関する問題
ウイカアイカオア
現状維持のための考え方としてSDCAサイクルがあります。SはStandardizeのことで標準化という意味です。標準化した作業書に基づいて仕事を実施(Do)し、意図したとおりに作業できたかを点検(check)し、うまく行かなかった場合に新しく標準化したり、うまくいっててもより良い標準を考えたりしてより標準を改善する(Act)、そしてその作業標準をもとにまたDoして…というサイクルを繰り返すことでプロセスがより良いものになっていき、安定化を図れるというわけです。したがって(70)はイです。
SDCAサイクルでは作業標準の改善を行いプロセスを安定化させることが目的です。そのプロセスからアウトプットを改善することは目的としていません。たいして、プロセスそのものに働きかけ、アウトプットを改善しようというのがPDCAサイクルです。
Pは計画(Plan)です。DCAはSDCAのそれと同じです。計画をたてて、それを実行して、結果を点検して、次への動きを考えて、また計画をたてて…というサイクルを繰り返します。というわけで(71)はイです。
個人的にはPDCAとSDCAを分ける必要はないと思ってます。SDCAサイクルは「作業標準の改善」を目的にPDCAを回してるってだからです。ただ、わざわざSDCAって言葉を作るあたり、品質管理の世界では作業標準の役割をすごく重く見ていることがわかるので、意識付けとしてはいいかもしれませんね。
オにPDPCサイクルってやつがありますが、そんなものは存在しません。PDPCといえば新QC七つ道具のPDPC法です。問7にありましたね。説明は一度してるので省略します。
〇〇サイクル系が消えたので、残る選択肢は管理項目系です。管理項目には要因系(原因系)管理項目と結果系管理項目があります。日本語的なニュアンスからもわかると思いますが、要因系管理項目はプロセス面の管理項目で、結果系管理項目はプロセスによって生み出されるアウトプット(結果)に関する管理項目です。したがって(72)はカ、(73)はアとなります。
エの財務管理項目についてですが、調べた感じそんな用語は存在しませんでした。完全なる造語ですな。
(74)についてですが特性要因図の基本として大骨の部分に4Mに相当するものを置く、というものがあります。4Mとは人(Man)、機械・設備(Machine)、原材料(Material)、方法(Method)のことです。ここを抑えておけば大体大丈夫!って感じのやつです。したがって(74)はイですね。
話はそれますが、4Mについて、人をManと訳しているのはポリコレ的に大丈夫なんですかね。「4M ポリコレ」「品質管理 ポリコレ」とかでググっても特に話題になっている感じはありませんが、ポリコレ対応したらどうなるんでしょうね。
次は(75)、(76)についてです。このへんの文章、私の理解力不足なのかいまいちわかりにくいです。「ものさし」と「尺度」はほぼ同じ意味なので、(75)はエの管理尺度だと思います。あんまり聞いたことのない言葉です。
(76)はオの管理水準だと思います。これはこの水準の範囲に入っていればokとしましょう、というような基準のことです。ただこれを解答とした場合、「ものさしで測った場合の管理水準」という表現はなにか言葉が不足している感じがします。違和感があります。
ちゃんと表現するなら「ものさしで測った場合に判断基準とするための管理水準」とかになるんですかね。他に入りそうな言葉もないので解答自体は間違ってなさそうですが…。しっくりこないので自信はないです。
(77)は文章の流れ的に管理業務をサポートするためのツールが入ると推測できます。したがって(77)はオのQC工程表です。他に入りそうな選択肢は見当たりません。
QC工程表とは、製造プロセスにおいて、各プロセスごとに誰が、いつ、どこで、なにを、どのようにして、管理業務を行うのかを記した表です。(77)の前の文章に「チェックのインターバル、役割分担を決定し」とあるので、文章の流れとしてもあってそうです。決定した事項を表に書き込めばいいわけです。
問13 品質管理の考え方についての問題
エオイイエカ
この問題は他の問題と問われている知識のダブリが多いです。前の問題が解けた人ならサクサク解けて、解けなかった人はこちらも解けず大きな点を失う、という格差が生まれそうです。
(78)は文脈的にエの満足でしょう。ニーズや期待を満たすことで顧客満足を大きくすることができる、というのは問9あたりでも出た話です。
予め設定する品質はねらいの品質、現実の品質はできばえの品質です。これも前の問題で問われた知識です。したがって(79)はオ、(80)はイです。
(81)は文脈的にイの品質特性でしょう。ほかに入りそうなやつはなさそうです。品質特性は問11にも出てきていましたね。品質特性を測定し、管理することで異常を発見することなどができるようになります。
(82)はエの事実です。これも他に入りそうな選択肢はないかな。意思決定には客観的事実となる数値データを用いるべき、という考え方は品質管理の基本です。
「再度同じ原因で異常を発生させることのないよう恒久処置を行って」とありますが、これは再発防止についての説明です。なので(83)はカですね。再発防止の話は問10でも出てきました。
問14 総合的品質管理についての問題
アエカウエカア
TMQとは「Total Quality Management」の略で、総合的品質管理という意味です。したがって(84)はアです。要は全員参加で品質管理に取り組みましょうって考え方です。
(85)には文脈的にトップダウン活動である何かが入ります。更には品質方針を定めるプロセスであることもわかります。これは方針管理ですね。したがって(85)はエです。
参考文献によると、方針とは次のようなもののことだそうです。
方針とは、トップマネジメントによって正式に表明された、組織の使命、理念およびビジョン、または中期経営計画mp達成に関する、組織の全体的な意図および方向付けのことです。
(参考文献より引用)
方針をトップダウンで各部門に展開し、方策を実施、そして成果を評価して、それをもとに方針をアップデートするというPDCAサイクルを回す。これにより目標の達成を目指すことを方針管理といいます。
年度末など、定期的なタイミングで方針の達成状況などに対するトップマネジメントによる評価が行われます。これをトップ診断といいます。したがって(86)はカです。トップ診断をもとにPDCAサイクルを回していきます。
次に(87)ですが、問題文を読むことでこれは「自らの組織の分掌業務を確実かつ効率的に達成するために必要な活動」であることがわかります。これは日常管理の定義です。したがって(87)はウです。
③の最初に「他方で」とあるので、②の文章で説明していた方針管理に対応する言葉が入ることが想定できます。この考え方からも、③の文章が日常管理の説明になっていることを推測できるかと思います。
(88)はエのQCサークル活動が入るかと思います。QCサークル活動とは現場で働く人達が品質の維持向上や改善のために自主的に行う小集団活動です。
小集団活動とは、
小集団活動とは、共通の目的およびさまざまな知識・技能・考え方をもつ少人数からなるチームを構成し、日常活動の維持向上・改善、および革新を行うことで、構成員の知識・技能・意欲を高めるとともに、組織の目的達成に貢献する活動のことです。
(参考文献より引用)
赤字で示している部分に注目します。「日常活動の維持向上・改善、および革新を行う」。このことから、「自らの組織の分掌業務を確実かつ効率的に達成するために必要な活動」に該当すると捉えられるかと思います。
得られた成果を日常業務で継続していくためには標準化が必要です。したがって(89)はカです。他に入りそうな選択肢はないと思います。
標準化を行うことで、「忘れてしまって使えない!」みたいなことを防げます。それにより継続的に成果を活用できるわけです。また、組織の人間が誰でもその成果を活用することができるという効果もあります。
(90)にはアの「QC教育」が入るかと思います。QC教育という言葉は聞き慣れないので少し不安になりますが、標準化作業により得られた作業標準だけあっても、それを使いこなすための教育や訓練が必要、という意味の文章だと思うので、それっぽいワードのQC教育が回答になるかと思います。他に入りそうな言葉はなさそうですしね。
問15 標準化に関する問題
カオウクエア
標準化を行う際には、関係者の合意を得ることが必要です。そのためには関係者に標準化をなぜ行うのかを理解して貰う必要があります。理解できない標準化ついて合意を得ることはできないでしょう。というわけで(91)はカ、(92)はオとなります。
(93)についてですが、ここには「分配される」ものが入ります。選択肢の中でそれっぽいのは「効果」だけだと思います。したがって(93)はウです。標準化により得られる作業標準は関係者なら誰でも見ることができるので、効果が分配されていると言えるわけです。
標準についてまずい所があればその部分は改定するか、場合によっては廃止します。まずい状態で放置しておくと、負の効果が関係者に分配されて非常にまずいです。というわけで(94)はクです。
(95)には文脈的に国際標準が入ります。なので国際規格であるISOが入りますね。したがって(95)はエです。オのJASは国家規格です。Iって入ってるやつはinternational(国際)の頭文字をとっている場合が多いので国際規格である可能性が高いです。一方でJってついてるやつはJapaneseが入っている場合が多いでの日本の規格である場合が多いかと思います。
(96)はアの団体が入ります。団体標準とは学会や産業界が定めた標準のことです。
問16 QCサークル活動に関する問題
カウケオキイ
問題文にあるように、小集団活動を行う「小集団」は目的別グループと職場別グループの2つに分けることができます。
目的別グループは明確の目的が存在し、その目的を達成したら解散するグループのことです。というわけで(97)はカです。
一方で職場別グループは、同じ職場の人で構成され、長期的・継続的に活動を行うようなグループのことです。したがって(98)には、「ずっと続く」みたいなニュアンスの言葉が入ります。なので(98)はウです。
QCサークル活動は小集団活動の一つです。日本科学技術連盟が発刊した『QCサークルの基本』によると、QCサークルは運営を自主的に行うものだと書いてあります。したがって(99)はケです。
QCサークル活動とは
QCサークルとは、
第一線の職場で働く人々が
継続的に製品・サービス・仕事などの質の管理・改善を行う
小グループである。この小グループは、
運営を自主的に行い
QCの考え方・手法などを活用し
創造性を発揮し
自己啓発・相互啓発をはかり
活動を進める。この活動は、
QCサークルメンバーの能力向上・自己実現
明るく活力に満ちた生きがいのある
職場づくりお客様満足の向上および社会への貢献
をめざす。経営者・管理者は
この活動を企業の体質改善・発展に寄与させるために
人材育成・職場活性化の重要な活動として位置づけ
自らTQMなどの全社的活動を実践するとともに
人間性を尊重し全員参加をめざした指導・支援
を行う。QCサークル活動の基本理念
人間の能力を発揮し、無限の可能性を引き出す。
人間性を尊重して、生きがいのある明るい職場をつくる。
企業の体質改善・発展に寄与する。引用:『QCサークルの基本』日本科学技術連盟, 1996
赤字になっているところを読めば、(100)~(102)も解けます。
上の引用文より「QCサークルメンバーの能力向上」を目指すことがQCサークル活動の目的のひとつなので、(100)はオです。
下の方の「QCサークル活動の基本理念」のところを読むと、③の文章がそのまま書いてあります。問題文と基本理念の文章を対応させて、(101)はキ、(102)はイであることがわかります。
参考文献
ユーキャンQC検定試験研究会『ユーキャンのQC検定3級 20日で完成!合格テキスト&問題集 第2版』自由国民社、2021年
わかりやすい参考書です。ただやや網羅性は低いかも。とはいっても試験合格のためには十分。読みやすいので通読するのに20日もかからないと思います。じっくり20日かけるよりも、2~3日でササッと読むのを何回も繰り返すほうがいいと思います。
試験の参考書だけでなく、専門書的なのも読んでみたいなあ。
終わりに
全問題を解き直し、自分なりの考え方をアウトプットすることで知識の定着を狙いました。
試験自体はそんなに難しくなく、資格を持っているだけでいいことがあるかというとそんなこともないと思います。なので、試験を受ける過程でいかに知識や考え方を定着させるかが重要だと思います。
知識を使えるものにするための方法はいくつかあると思いますが、こうやってブログでアウトプットするのも効果的かと思います。今後資格試験を受けることがまたあれば、こういった活動は続けてい行きたいですね。
23日の公式の解答が出るらしいです。もし間違ってるところがあったらそのときに修正します。