勉強

プロトコルとネットワークアーキテクチャ(『おうちで学べるネットワークのきほん』を読む その4)

今回も引き続き『おうちで学べるネットワークのきほん』を読んでいきます。この記事では「chapter1-1-4 プロトコルとネットワークアーキテクチャ」の範囲を読みながらいろいろと学んでいきます。

文章や画像の引用は特に断りが無ければ『おうちで学べるネットワークのきほん』からのものとなります。

前回(その3)はこちら

プロトコルとは?

インターネットなどのネットワークでは様々なデータのやり取りがされています。やり取りの際の決まり事(ルール)プロトコルと言います。

データはただインフラに投げ込んだだけでは、うまく相手に届きません。データのやり取りの際には以下のような事項に関してルールを設定する必要があります。

  • データのフォーマット
  • データを送受信する手順
  • データの送信先
  • エラー時の処理

手紙送る場合で例えると、相手が理解できる言語は何か、住所はどこか、何円の切手を貼ればいいのかなどの情報が必要となります。この辺は暗黙の了解的に共有されていることですが、相手に正しく手紙を読み取ってもらうには抑えなければいけないポイントがいくつかあるわけです。これはPC通信などでも同様のことが言えます。

ネットワークアーキテクチャとは?

通信を行うための一連のプロトコルの組み合わせの事をネットワークアーキテクチャといいます。

通信のためのプロトコルは一つだけではありません。一つのプロトコルにいろいろ機能を詰め込みすぎると複雑で使いづらくなり、機能の追加や削除などもやりにくくなってしまいます。そこで、実際の通信では機能ごとに分かれた複数のプロトコルを組み合わせたものを使用しています。

有名なネットワークアーキテクチャにOSI参照モデルTCP/IPがあります。

7層構造のアーキテクチャ:OSI参照モデル

OSI参照モデルは国際標準化機構であるISO(International Organization for Standadization)が制定したネットワークアーキテクチャで、ネットワークに必要な機能を7つの階層に分類して考えたものです。

OSI参照モデルの7階層は次の図のようになっています。

これはデータの通信経路別に分けて考えた階層です。ユーザに最も近いのがアプリケーション層で、これは特定のアプリケーションごとに特化したプロトコルです。なのでユーザの目の前まで来ているデータの処理を担当するプロトコルですね。ユーザに近い側程、上の階層にあると表現します。

一方で、ユーザから最も遠い部分を担当するのが物理層です。これは電気信号の変換とかに関するプロトコルです。

物理層~データリンク層のことを、階層が低い順にレイヤ1(L1)~レイヤ7(L7)と呼ぶこともあります。

階層を分けることで、「これは物理層のトラブルだ」みたいにな判断を行うことができます。そして、トラブルに対処するときに、その部分だけをいじれば解決するので便利です。

一つのプロトコルにすべての機能をまとめてしまうとそう簡単にはいきません。ひとついじった事で、いままで正常に動いていた部分もダメになる可能性があるからです。

また、階層が低いところが機能しないとそこより上の階層も機能しないという考え方は重要です。直列に繋がっている道路をイメージするとよいでしょう。よくわからない時は一番低い階層から調べる必要があります。

4層構造のTCP/IP

OSI参照モデルは有名なネットワークアーキテクチャですが、7層の考え方が複雑だという事で、一般的にはあまり利用されていません。ネットワークアーキテクチャの業界標準として最も広く利用されているのはTCP/IPというものです。

TCP/IPは通信に必要な機能を4つの階層で考えています。7つの階層で考えるOSI参照モデルよりもシンプルであると言えます。

以下に示す図は、TCP/IPの4階層とOSI参照モデルの7階層がどのように対応しているかを示すものです。

データの呼び方の変化

通信を行うデータは、そのデータがどの階層にいるかによって呼び方が変わります

  • アプリケーション層 ➡ メッセージ
  • トランスポート層 ➡ セグメント
  • トランスポート層、ネットワーク層 ➡ データグラム
  • ネットワーク層 ➡ パケット
  • データリンク層 ➡ フレーム

などです。

これらは全部「データ」と同じ意味と捉えてよいです。ただ、呼び方を変えることによって「今はアプリケーション層の話をしてるんだな」という認識を明確にすることが可能になります。

この辺のイメージができていると、この分野の学習が楽になると思います。

まとめ

今回は「プロトコル」「ネットワークアーキテクチャ」とは何ぞや?というところから始めて、有名なネットワークアーキテクチャであるOSI参照モデルとTCP/IPに関する学習を行いました。

TCP/IPの4階層について、それぞれの役割とか、階層ごとの通信経路といった話題も本では触れられていましたが、のちに詳しくやるだろうという事で今回は割愛。

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次回(その5)はこちら↓

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