クラウドサービスには「IaaS」「PaaS」「SaaS」といった分類が存在する。
IaaS(「アイアース」と読む)は、Infrastructure as a Service の略で、クラウド事業者からアプリケーションの開発環境を構築するためのインフラの提供を受けるサービス形態である。
PaaS(「パース」と読む)はPlatform as a Service の略で、クラウド事業者からアプリケーション開発環境の提供を受けるサービス形態である。
SaaS(サースと読む)は、Software as a Servicer の略で、クラウド事業者側からソフトウェアの提供を受けるサービス形態である。
詳しい解説は以前に別の記事で解説したので、そちらをご覧いただきたい。
それでは、本題に入っていこうと思う。
身近な例に例えることで理解度が上昇する、ということで、今回は「家と土地」でIaaS、PaaS、SaaSについて例えてみる。
SaaSは「家電・家具付きの家」を貸し出すサービス
SaaSはソフトウェアを提供するサービスであるが、これは家具付きの家を貸し出すことに例えられるだろう。
家具や家電がすでについているため、借りたら即住むことが可能。新生活前の買い物とかも不要だ。
SaaSの場合、家電や家具、建物のメンテナンスまでサービスに含まれており、故障したら無料で修理してくれるし、新型が出たら取り換えてくれる。利用者はただ快適に住むことにだけ集中できる。
ただし、「自由度の低さ」というデメリットがある。「この家にはtotoのトイレがついてるけど、俺はLIXILのトイレがいいんだ!」「縦型洗濯機がついてるけどドラム式がいい」といった要望があっても、設備を入れ替えることはできない。機能面については提供されていると通りにしかならない。ただし、クラウド事業者側が用意しているプランの中では変更が可能な部分もある。
すべてが自分の要望にあった家を見つける必要があり、なければある程度の妥協が必要。「すべてが俺に適応したオーダーメイドハウスが欲しい!」となれば、後述するPaaSやIaaSを利用することになる。
PaaSは「空の家」を貸し出すサービス
PaaSはアプリケーションの開発環境を提供するサービスであるが、これは「空の家」を貸し出すことに例えられるだろう。要は一般的な賃貸住宅と同じような感じである。
「空の家」とは、家具や家電などが何もない状態の家の事。家を設計図から考えて建設するとなると大変手間と時間がかかる。そこで、すでに建っている家を借りる事で、素早く住める家を手に入れることが可能になる。
家具や家電などは備わっていないため、それらを揃える手間はかかるものの、一から建設するよりはずっと速い。むしろ、自分好みの家電や家具を揃える事ができるため、そのほうが便利なこともある。
家具や家電のメンテナンスは自分でやる必要があるが、建物のメンテナンスは自分でやる必要がない。
ただし家具や家電(アプリケーション)の自由度はあるものの、建物(プラットフォーム)の自由度は少ない。2階建の家を借りたら、3階建にすることはできない。間取りや階数など、細かく自分好みの建物が欲しいとなると、後述するIaaSを利用することになるだろう。
IaaSは「土地」を貸し出すサービス
IaaSはアプリケーション開発環境用インフラを提供するサービスであるが、これは家を建てるために土地だけを貸し出す事に例えられる。
土地だけを借りる事で、その上に建てる家に関しては自由度を高くすることが可能。自分好みの家を建設することができる。その代わり手間がかかるし、「住める家」というサービスが完成するまでに時間がかかる。建物や家具などのメンテナンスも自分でやらなければならない。
終わりに
3種類のクラウドサービスについて、家や土地といったものに例えて説明した。まとめると以下のように例えて説明した。
- SaaS ➡ 家具・家電付き住宅を貸し出すサービス
- PaaS ➡ 空の家を貸し出すサービス
- IaaS ➡ 土地を貸し出すサービス
自由度とお手軽度は次のような序列になる。
自由度:SaaS < PaaS < IaaS
お手軽度:SaaS > PaaS > IaaS
どのサービスを利用するかについては、どれくらいの自由度が欲しいかを考えて、それを満たす中で一番お手軽なものを選ぶ、という形になるだろう。