基本情報

【基本情報 平成29年秋期 午前問14】クラウドサービスに関する問題の解説

社内業務システムをクラウドサービスへ移行することによって得られるメリットはどれか。

ア  PaaSを利用すると,プラットフォームの管理やOSのアップデートは,サービスを提供するプロバイダが行うので,導入や運用の負担を軽減することができる。

  オンプレミスで運用していた社内固有の機能を有する社内業務システムをSaaSで提供されるシステムヘ移行する場合,社内固有の機能の移行も容易である。

ウ  社内業務システムの開発や評価で一時的に使う場合,SaaSを利用することによって自由度の高い開発環境が整えられる。

エ  非常に高い可用性が求められる社内業務システムをIaaSに移行する場合,いずれのプロバイダも高可用性を保証しているので移行が容易である。

クラウドサービスに種類についての理解が求められる問題。

クラウドサービスに関する解説は、過去の記事をご覧いただきたい。

SaaS、PaaS、IaaS、DaaSとは何か? クラウドの種類について解説クラウドサービスとは、サーバやソフトウェアなどを自前で用意しなくても、インターネットを経由してそれらを利用できるサービスの事である。 ...
「家と土地」でクラウドサービスの種類を解説クラウドサービスには「IaaS」「PaaS」「SaaS」といった分類が存在する。 IaaS(「アイアース」と読む)は、Infras...

それでは、一つずつ選択肢を見ていこう。

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アの解説

ア  PaaSを利用すると,プラットフォームの管理やOSのアップデートは,サービスを提供するプロバイダが行うので,導入や運用の負担を軽減することができる。

結論から言うと、アが正解である。

PaaS(「パース」と読む)はPlatform as a Service の略で、アプリケーション開発のための開発環境(プラットフォーム)をサービスとして提供するものである。プラットフォームには、

  • OS
  • データベースサーバ
  • アプリケーションサーバ
  • 開発フレームワーク
  • プログラミング言語の動作環境

などがある。

自分で開発環境を立ち上げようとすると、インストール作業などで時間がかかってしまう。その点、PaaSなら最初から用意されているものを利用するので、導入が簡単だ。

しかも、新しいバージョンが出たら勝手にアップロードしてくれるなど、プラットフォームの保守管理もクラウド事業者におまかせである。したがって「導入や運用の負担を軽減する」ことができる。

イの解説

  オンプレミスで運用していた社内固有の機能を有する社内業務システムをSaaSで提供されるシステムヘ移行する場合,社内固有の機能の移行も容易である。

SaaS(サースと読む)は、Software as a Servicer の略で、ソフトウェアをサービスとして提供するものである。また、「オンプレミス」とはクラウドを利用しないですべて自前でサービスを用意することである。

PaaSは開発環境を提供するものであったが、SaaSはすでに開発されたソフトウェアを提供する。サービスを契約してアカウントを作るだけですぐにサービスを利用できるため、自分でソフトを購入して導入するよりも手間が少なくスピーディである。

その代わり、あらかじめ用意された機能しか利用できないため、自由度という点ではPaaSやIaaSに劣る。オーダーメイドでほしい機能を付ける、といった事は難しい。

したがって「社内固有の機能の移行も容易」という点が誤りイは×である。

ウの解説

  社内業務システムの開発や評価で一時的に使う場合,SaaSを利用することによって自由度の高い開発環境が整えられる。

イで解説したように、SaaSは自由度が低い。したがってウは×である。

「自由度が高い開発環境」が欲しければ、IaaSを利用することになる。

エの解説

エ  非常に高い可用性が求められる社内業務システムをIaaSに移行する場合,いずれのプロバイダも高可用性を保証しているので移行が容易である。

「いずれのプロバイダも高可用性を保証している」が誤り。可用性の高さはプロバイダによって異なるため、必ずしも高可用性を保証しているとは限らない。したがってエは×