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【株式投資】バンド理論とチャート分析

バンド理論とは自由電子のエネルギーレベルに関する理論です。

ここでは難しい話をするつもりはありません。バンド理論について詳しく知りたい方は半導体工学の教科書などを読んでみましょう。

バンド理論と株式投資のチャート分析には似たようなところがあると思うので、二つを結び付けて考えてみたいと思います。

ざっくりバンド理論を説明

原子の周りについて回っている自由電子にはエネルギーレベルというものが存在します。電子はたくさんあるのですが、すべてが同じエネルギーを持っているわけではありません。

電子のエネルギーは好きな値を取れるものではなく、「ここからここまでのエネルギーは取とれません」というような範囲が存在します。この電子が持てないエネルギーの範囲を”バンドギャップ“といいます(“バンド”とは電子が存在できるエネルギー帯のこと)。そのため、電子のエネルギーを低い順に並べると、所々不連続になります。バンドギャップが存在しない物質もあります。

電子がバンドギャップを飛び越えて別のエネルギーを持とうと思った場合、バンドギャップを超えるための大きなエネルギーを加えてあげる必要があります。必要なエネルギーが加われば、バンドギャップを飛び越えてエネルギーの存在するゾーンに飛び移ります。

横断歩道でいえば、白い部分にたくさん原子が詰まっていて、白くない部分には電子が一切存在しない、と考えるとわかりやすいかもしれません。。エネルギー量を変えたいと思ったら、白くない部分を飛び越えて白いところにジャンプして飛び移る必要があります。スッと動けずジャンプする必要があるので大きなエネルギーが必要です。

物質によって白い部分と白い部分の距離が異なるため、ジャンプのエネルギーもことなります。空白部分が一切存在しない物質もあって好き放題に動ける場合もあります。。

株式チャートにも”バンドギャップ”が存在する

株式チャートにも、同様の考え方を応用できると思います。

価格帯別出来高“という指標を見たことはあるでしょうか。これは出来高が多い株価帯と出来高が少ない株価帯が一目でわかるようになっているグラフ棒グラフです。証券会社のページやアプリを使えば見れます。

価格帯別出来高を見てみると、一部の価格帯に出来高が集中していることが分かります。この”集中地帯”がバンド理論でいうところの、「エネルギーが存在できる範囲(バンド)」となります。

一部の出来高密集バンドを除くと、出来高がスカスカな部分がほとんどです。これは”バンドギャップ”に相当します。バンドギャップに株価がある場合、大体は勢いそのままに出来高密集帯まで突っ走ります。勢いが下に向いていれば株価は一気に下がりますし、勢いが上に向いていれば一気に上がります。

上昇あるいは下落の途中で急に勢いが沈むことがあります。これは何かしらの抵抗にぶつかった場合が多いです。出来高密集バンドにぶつかると、いったん勢いが止まることはよくあります。そこで逆方向に勢いをつけることもあれば、いったん休んで再び勢いよく上昇することもあります。

出来高が増えるのは、さらなる上昇を目指して買い集める人と、そこから戻す可能性を考えて利益確定をする人が出てくるからです。バンドギャップの部分に株価がある時、株価が上昇している場合は利益確定する人はそんなにいませんし、株価が下落している場合は新しくエントリーする人はあまりいません。

ちょうどいいところに株価が到達したら、買いの注文と売りの注文の両方が増えます。もみ合いになるんですね。ちょうどよくない株価(バンドギャップゾーン)のときは、いずれか一方の注文が多いです。そのため、一つの方向に勢いがつきます。

もみ合いのことを「エネルギーを貯めている」と表現する人がいますが、結構しっくりきますね。バンドギャップを突破するにはエネルギーが必要ですから。

以上のような理論を以下では”株価チャートバンド理論“と呼びます。これは私が勝手に考えたものです。また株価がいったん勢いを失うゾーンを”もみ合いバンド“と名付けます

どこが”もみ合いバンド”となるのか

“株価チャートバンド理論”を実践に活かすなら、もみ合いバンドを抜けたところで株を買い、次のもみ合いバンドに到達したときに一部を利益確定すればよいことになります。そのもみ合いバンドを上に抜けたら追加で購入して、下に抜けたら残りの株を利益確定もしくは損切りをすることになります。

しかし、物理学のバンド理論と違い、どこがもみ合いバンドになるのかは事前に分かりません。価格帯別出来高も「過去にもみ合いバンドだった場所」を見れるにすぎず、それを今や未来にそのまま適用できるとは限りません。

前回高値と前回安値

大体の場合、前回高値や前回安値といった節目の株価が大きなエネルギーを持ちます。たとえば株価が大きく上昇していったん押し目を付けた場合、再び上昇する際に前回高値に差し掛かると勢いの減少を感じることが多いです。

すんなり突破しているように見える場合でも、5分足を見てみるともみ合った形跡がある場合が多いです。あとから見ればすんなり通過した銘柄でも、その時保有していた投資家からすると難しい判断を迫られていたりします。

これは経験的にわかっていることなので、前回高値に差し掛かった時に一部もしくはすべての持ち株を売って利益確定する投資家は多いです。いままで買い一方だった株価が利益確定に押されて勢いが殺されるんですね。

このまま利確の勢いに勝てず「ダブルトップ」の形を形成して株価を落とすこともあれば、ちょっともたついた直後にまたグングン伸びる事もあります。

落ちる可能性があるので、いったんここで一部を利益確定してしまうのが賢明でしょう。一方でもし前回高値を突破した場合、大きな利益を得られるので全部売るのはもったいないと思います。なので、利益確定は一部にとどめて置くとよいでしょう。

一部を利益確定しておけば、下降し始めてもゆとりをもって残りの株を処分できます。これはメンタル的にも重要で、狼狽売りを避けることにも繋がります。最大利益は減りますが、メンタルケアと保険のために一部を利確するのが賢いでしょう。

前回安値も活用できます。前回安値に差し掛かって、もみ合った後再び上昇すれば「ダブルボトム(2番底)」となり大きな上昇を見込めます。銘柄探しに活用しましょう。私はやりませんが、前回安値を下に突破したところを狙って空売りするという戦略もあります。

移動平均線

「前回安値や前回高値とは離れているのに勢いが死んだ」といこともあります。そういった場合、移動平均線にぶつかっていないかチェックしましょう。

移動平均線に近づくと、勢いが失われることが多いです。移動平均線との乖離が大きかった場合、移動平均線に差し掛かる辺りを基準として利益確定する投資家が多いからです。

日足の移動平均線(5日、25日)はチャートを見ると一緒に表示されることが多いのでわかりやすいですが、週足の移動平均線(13週、26週、52週)や月足の移動平均線(12ヶ月、24ヶ月、60ヶ月)に影響されて株価がもたつく場合もあります。

「なんでこんなところでモタつくねん!」と思ったら、週足チャートや月足チャートも見てみて、移動平均線と株価の関係を確認にしてみるとよいでしょう。すんなりと疑問を解決できることが多いです。もし、乖離を埋めて移動平均線とぶつかっているようであれば、一部を利確しておくと安心です。

株価のバンドギャップを買う前にチェックしておく

出来高密集バンドの発生ポイントは「前回高値・前回安値」と「移動平均線」をチェックするとだいたい予測できます。そして、そこで利益確定をすることになります。株価のバンドギャップが大きいほど、大きな利益を取れます。だったら、バンドギャップの大きい株を買いましょう、ということです。

「前回高値・前回安値」と「移動平均線」以外にももみ合いなり得る場所はありますが、この二つだけで大部分に対応できます。お手軽なので、まずはこの二つをチェックしておきましょう。

「株価の進行方向にもみ合いになりそうな基準がなにもない」という場合は、一般的なチャート分析の天井シグナルに従いましょう。

もみ合いバンドは抜ける勢いを感じてから株を買う

もみ合いバンドの中でもみ合っている最中に株を買うのはお勧めしません。抜ける勢いを感じてから買うほうが確率が高いです。

これはいろんなところでいわれていることです。「頭と尻尾はくれてやれ」「名人天井売らず底買わず」といった格言もあります。

次のもみ合いバンド候補まで距離があるなら、ちょっと底から値上がったタイミングで買っても十分な利益が出ます。しかもすぐに株価が上昇します。そのため資金回転も効率良くなるでしょう。

もみ合いバンドでもみ合っている時点では、上に抜けるか下に抜けるかわかりません。上に抜けるにしても、時間がかかってしまう場合があります。底値脱出のシグナルを確認してから株を買いましょう。

終わりに

急に「株価チャートとバンド理論って似てね?」という発想が出てきたのでメモがてらブログを書いてみたのですが、結構ガッツリ書けました。

思いつきで書き始めたこともあり、理論としてはまだまだ未熟だろうと思います。あまり鵜呑みにしないことをおすすめします。

工学系の大学を出ている方なら取っつきやすいかもしれないですね。半導体工学とか電子工学とかで習ったバンド理論の知識があれば、同じ理屈を株式投資に応用できる可能性があります。いろんなことを勉強しておくと、別のことの理解に役立っていいですね。