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【決算データ10年分】ネットセキュリティのイー・ガーディアン 業績と株価を分析

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イー・ガーディアンは東証一部に上場するネットセキュリティ企業です。SNSの監視業務やゲームの問い合わせ代行業務、ネット広告審査審が収益の柱で、近年成長著しい企業です。

脆弱性診断サービスやWEBセキュリティ・コンサルティング、クラウド型のセキュリティ製品の開発といったサイバーセキュリティ分野にも力を入れており、こちらも順調です。近年サイバーセキュリティに対する需要は急激に高まっており、この分野を手掛けるイー・ガーディアンは今後更なる大きな成長を期待できそうです。

そんなイー・ガーディアンの業績データを10年分用意して分析してみました。なおイー・ガーディアンは何度か株式分割を行っているますが、EPSやBPSといった値は現在の基準に合わせて紹介させていただきます。

さらに最近の株価チャートを紹介しつつ、今後の株価の行方の分析を試みます。

業績の分析(2010年9月期~2019年9月期)

売上高の推移(単位は[100万円])

2010.9 1,340
2011.9 1,907
2012.9 2,232
2013.9 2,487
2014.9 2,471
2015.9 3,018
2016.9 3,813
2017.9 5,067
2018.9 5,902
2019.9 6,535

売上高

売上高の推移はきれいな右肩上がり。特に2015年9月期以降の伸びは素晴らしい。二桁成長を続けています。10年間で売上高は5倍程度に伸び、現在も右肩上がりと正に成長企業といった感じですね。

営業利益の推移(単位は[百万円])

2010.9 204
2011.9 174
2012.9 83
2013.9 188
2014.9 200
2015.9 328
2016.9 562
2017.9 811
2018.9 1,039
2019.9 1,167

営業利益

こちらも売上高と同様、2015年9月期以降の成長が著しい。4年で4倍近くまで営業利益が伸びました。理想的な右肩上がりと言えます。

売上高営業利益率の推移(単位は[%])

2010.9 15.2
2011.9 9.2
2012.9 3.7
2013.9 7.6
2014.9 8.1
2015.9 10.9
2016.9 14.7
2017.9 16.0
2018.9 17.6
2019.9 17.9

売上高営業利益率

直近5年の平均で15.4%、直近10年の平均でも12.1%と、営業利益率は高いレベルで安定しています。かなり優秀だと思います。

成長という点では頭打ち感があるものの、15%くらいを維持できれば十分ではないでしょうか。

営業キャッシュフローの推移(単位は[百万円])

2010.9 202
2011.9 57
2012.9 100
2013.9 292
2014.9 99
2015.9 393
2016.9 494
2017.9 692
2018.9 797
2019.9 930

営業キャッシュフロー

営業キャッシュフローも順調に成長しています。利益が出るだけではなく、しっかりキャッシュを稼げています。

営業キャッシュフローマージンの推移(単位は[%])

2010.9 15.1
2011.9 3.0
2012.9 4.5
2013.9 11.7
2014.9 4.0
2015.9 13.0
2016.9 13.0
2017.9 13.7
2018.9 13.5
2019.9 14.2

営業キャッシュフローマージン

こちらは急成長が始まった2019年9月期以降、13%~14%で安定しています。10%あれば中々優秀なので、この水準はかなり良いですね。15%に乗せれればさらに見栄えが良くななりそうです。

EPSの推移(単位は[円])

2010.9 17.0
2011.9 9.1
2012.9 5.1
2013.9 13.3
2014.9 13.7
2015.9 19.8
2016.9 35.3
2017.9 56.6
2018.9 72.1
2019.9 82.6

EPS

EPSもここ5年順調に成長しています。10年間で赤字の年が無いのも素晴らしい。

BPSの推移(単位は[円])

2010.9 57.6
2011.9 91.8
2012.9 92.7
2013.9 106.9
2014.9 113.0
2015.9 133.0
2016.9 167.1
2017.9 219.9
2018.9 279.3
2019.9 338.3

BPS

毎年順調に資産を積み重ねていることがわかります。安定感がありますね。そしてやはりここ5年は資産の成長速度も速い。

ROEの推移(単位は[%])

2010.9 31.7
2011.9 12.6
2012.9 5.7
2013.9 13.3
2014.9 12.3
2015.9 15.9
2016.9 23.3
2017.9 29.2
2018.9 28.9
2019.9 26.8

ROE

ROEはとても高い水準。ここ4年は20パーセントを大きく超え、10年平均は20.0とこれもすごい。米国の一流企業にも劣らない数値です。資産を有効に活用できていること、高い成長力を持っていることがわかります。

配当金の推移(単位は[円])

2010.9 0.0
2011.9 0.8
2012.9 0.0
2013.9 1.7
2014.9 2.0
2015.9 2.3
2016.9 4.0
2017.9 6.0
2018.9 8.0
2019.9 9.0

配当金

配当金は2013年9月期以降も毎年出しており、その間は連続増配となっています(7年連続)。それでも配当利回りは1%に満たない(2020/3/18時点)ですが、成長企業なのであまり気にしなくてよいと思います。十分にROEも高いし配当金を出すよりも収益を成長させることに集中してもらいたいところです。

配当性向の推移(単位は[%])

2010.9 0.0
2011.9 9.2
2012.9 0.0
2013.9 12.5
2014.9 14.6
2015.9 11.8
2016.9 11.3
2017.9 10.6
2018.9 11.1
2019.9 10.9

配当性向

配当性向は10%くらいで安定しています。多分そういう方針なのでしょう。成長企業という事を考えればこんなものだと思います。利益が増える限りは連続増配が続くでしょう。

株価とチャートの分析

【3ヶ月チャート】

 

【5年チャート】

 

上記のチャートは両方とも2020/3/18時点のものです。

2018年の春あたりまでは順調に株価も成長していましたが、以降は下降トレンドが続いています。最近底打ちしたかと思いきや、コロナショックに巻き込まれ大きく下落してしいました。

業績自体は下降トレンドの中でも右肩上がりでした。いずれ上昇トレンドに転換した際には大きな上昇を望める可能性は高いと思います。ROEの高さは特に魅力的です。

ネットセキュリティという分野は不況の中でも需要が完全に消滅することはないと考えられます。インターネットを利用する以上、セキュリティ対策が必須なのは不況でも変わらないからです。これから訪れるかもしれない不景気への耐性もある程度は期待できると思います。

ただし、不景気になって個人消費が抑えられてしまったり、企業活動が減ってしまった場合、インターネット上の活動量も抑えられてでしょうから、その分だけ需要は減ることが予想されます。企業存続が危ぶまれるほどの収益減ということはなくても、減益の可能性は十分にありえます。

とはいえ株価は底値圏にあるので、倒産はないと見たら少しずつ拾っておくのもありでしょう。

2020/3/18現在、PERは14.93倍、PBRは3.83倍。業績に対してPERはかなり割安であると思ういますが、これから新型コロナウィルスの影響で業績が悪くなるかもしれないと考えると、PBRがやや割高にも見えます。これはROEの高さ故とも言えるので、そんなに気にならないかな。

上値は重そうなので、底値を狙って株を買うならドンピシャの底値をとりに行くのではなく、少し上昇して押し目やダブルボトムを付けたあたりで狙うのが無難でしょうか。

時価総額は130億円くらいとかなり小型。テンバーガーも十分にありえる銘柄だと思います。

イー・ガーディアンの分析:まとめ

イー・ガーディアン成長著しいネットセキュリティ企業であり、業績は右肩上がりの優良企業でした。

株価チャートを見る限り、現在の株価は下降トレンドがそろそろ終了しようかというところにあります。新型コロナウィルスの影響がなければ仕込みどころと言えたのですが…

コロナウィルスや日経平均、アメリカ株の動向が落ち着いた段階で、まだ大きく上昇していなければ株を購入することを検討してもよいかなと思います。ネットセキュリティという分野も今後伸びていくはずなので、個人的にはかなり期待しています。

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