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【書評・読書メモ】熊谷亮『株ドカン あなたの人生を劇的に変える株の本』

図書館に置いてあったので読んでみた。読んだ感想やメモを書いていく。

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どんなことが書かれているか

この本には、チャート分析を用いた投資手法を4つに分けて紹介している。具体的には

  • 急騰後の押し目を狙う手法
  • 上昇後のもみ合いから高値を抜いたタイミングを狙う手法
  • 暴落後の反発を狙う手法
  • 急上昇によるライン離れに乗っかる手法

の4つである。これらの手法を用いることで株価が「ドカン」と上がる直前に株を購入できる、とのことである。

また、上記の4つにに当てはまるチャートをヤフーファイナンスで探す方法について書かれている。短期投資家の人にとっては当たり前のことなのかもしれないが、私にとっては参考になった。

この本のいいところ

この本の大きな特徴は、具体的な数字を利用して、「いくらに指値を入れるのか」といったところが示されている点である。注文ボタンを押す直前の動きについて詳しく解説されているのだ。こういった本は意外とないと思う。

他の本は、「理系の人間が困るタイプの料理本」みたいなのが多い。「お好みの量」「しんなりするまで炒める」など、ざっくりとしすぎていて、実際どうしたらいいのかわからない、「具体的に何グラム、何分という表現を使え!」という悩みをもつ方は多いと思う。

チャート分析の本にしても、「こんな感じになったら買い時」みたいなファジーな表現が多い。「注文を入れるのは当日中なのか、翌日の寄りでなのか」「指値なのか成行なのか」「分けて買うと言っても、具体的にどういう風に注文を入れればいいのか」など、初心者は困ってしまうだろう。そういった点について、この本ではだいぶ配慮されている。

注文方法以外にも、損切ラインの設定方法や、銘柄探しの方法についても、具体的に書かれている。

どんな人にこの本はおすすめか

この本に書かれている通りにやれば、誰でも取引ができてしまう。しかし、完全な初心者がこの本通りに投資を行うのは難しいかもしれない。

まず、この本の銘柄探し方法を活用した場合、株価の変動が激しい銘柄を中心に狙うことになる。めちゃくちゃな動きをした場合に、初心者がメンタル的に耐えられるかどうか。難しいのではないか。

この本の方法を活用する場合、完全な株の初心者ではなく、「短期投資やチャート分析は初心者だけど、投資経験自体はそこそこあるよ」という方のほうが向いていると思う。株価の変動にある程度体で慣れている人が、慣れないチャート分析に挑戦しようと思うとき、この本を読んでイメージを作るというのがよいのではないだろうか

完全な株の初心者は、無難にS&P500のインデックスあたりへの積み立て投資からスタートしたほうが良いと思う。そこで値動きについて体を慣らしながら、投資の基本を勉強したほうがよいのではないだろうか。

「どうしてもチャートで取引するのに憧れてるんだ!」という人は「なくなってもいいお金で投資する」「信用取引には手を出さない」を徹底したうえで、この本の手法に挑戦してみよう。休日にパチンコに行くくらいの金銭感覚が良いだろう。

この本に書いてある投資法について思う事

買い方について

「急騰後の押し目を狙う」手法では、底値(押し目)を確認してから買いを入れるのではなく、下がり始めた直後に押し目になりそうな株価で指値を入れて注文する、という手段をとる。

この方法では決め打ちする分、一瞬の値動きを捉えて大きな利益を得ることも可能になるが、底値シグナルを確認する前に指値注文をいれるため、思った以上に下落するリスクがある。株価の変動が激しい銘柄を狙って大幅な利益を狙う手法のため仕方ないのだろうが、小心者にはきつそう。

ちゃんとした選球眼がある人ならこの方法で大きな利益を得られるのだろうが、私の場合はは確実に底値を確認した後、上がりはじめた初動を捉えるやり方のほうが性に合っている。

初心者の場合、一瞬であっても含み損ができると、頭がふわふわしてしまい仕事などに集中できない現象が起こる(初心者でなくても、そうである人は多い)。初心者向けに解説されているが、初心者に向いているとも限らない、そんな手法である気がする。

ただし、「この辺に底値シグナルが来そうだな」という予測を立てるには、この本のやり方を応用できそう。予測ができれば早めに決断ができるので、機を逃すリスクを減らせるはず。

売り方について

私が運営する投資顧問会社の会員の方には、「8~10%アップで目標達成」として、そこまで上がったら機械的に売却するようすすめています。

これはもったいない結果になることも多そう。天井シグナルが出てから売ったほうがおいしいと思う。この本の手法は短期取引が基本なので、機械的に売ったほうが期待値が上なのだろうか?

一方で、こんなことも書いてある。

まず保有株の半分は、平均購入価格(分散して買っているので平均額を出しておきます)から8~10%上昇したところで機械的に売って利益を確定します。100円台の低位株や新興市場銘柄など値動きの激しい株の場合は、10%アップで売却します。

一方、保有株の残り半分については、上昇が続く限り持ち続けます。といっても、売却のタイミングを逃しては意味がありませんから、「前日の安値を終値で下回らない限り保有し続け、下回ったら翌日の寄付で売却する」というもうひとつの売却ルールに従います。この方法なら、最高根では売却できなくても、上昇していく局面をしっかりとらえれ利益を得ることが可能です。

半分は機械的に売って、残り半分は上昇が続く限り持ち続けるとのこと。

残り半分を売る基準について、「前日の安値を終値で下回らない限り保有し続け、下回ったら翌日の寄付で売却する」というルールが最適なものかは議論の余地があるだろうが、「半分は機械的にうって、残り半分は天井シグナルが出るまで持つ」というのはいい方法かもしれない。

サクッと利益確定をして資金の回転を止めないようにしつつ、上昇相場を最後まで追いかけて大きな利益を狙える。一度利益を確定した安心感もあり、これはQOLに直結すると思うので、最大の利益を狙うよりも目に見えない利益が増える可能性がある。

総評

この本に書いてある手法は、株価変動の大きい銘柄を狙って、チャートがいい形になった時に、決め打ちして大きな利益を狙いに行くというものである。

初心者向けに書かれていてわかりやすいが、初心者が実際にこの本をまねて取引しようとすると、メンタルへの負担が強そう。個人的にはもっと心にゆとりを持てる手法で精神を慣らしたほうがよいと思う。ある程度株の値動きについてわかってきた人が参考にするのがいいのではないだろうか。

そのままこの本の手法をパクるのは、私にとっては厳しいかなといったところ。一週間くらい、実際のお金は使わないシミュレーションをしてみたが、実際にお金を使ってトレードしてたらメンタルが厳しいような気がした。

とはいえ、そのままパクれなくても参考になる部分はあった。一気に複数の指値を入れて分割して注文するイメージができたり、底値をシグナルが出る前に予想することに応用できる感じもした。

株式投資に慣れている方が、「たまには余裕のあるお金で短期トレードしたいなぁ」と思ったときに参考になる本だと思う。