2020年2月4日、ネットセキュリティ企業のイー・ガーディアン(6050)がストップ高を付けた。
この記事では、どんな材料で急騰したのかを解説しつつ、今後の株価展開について考えてみようと思う。
ストップ高を付けた理由
ストップ高をつける前日に2020年9月期の第1四半期決算が発表され、業績が思ったよりも好調であったため、「想定外の高成長」と捉えられて株価が急上昇した。
2019年11月に発表された、2020年度の上半期の業績予想はこうだった。特に、営業利益が7%の減益予想になっているところに注目。
一方で、第1四半期決算で発表された業績は、売上高が前年同期比で15%増、営業利益が同20.6%増、経常利益が同17.6%増、純利益が同12.9%増となり、業績予想からは考えられないくらいの大幅増益となった。
こちらの記事によると、アナリスト予想も大幅に上回っていたようである。
イー・ガーディアン<6050>が2月3日に発表した2020年9月期第1四半期の経常損益は374百万円、直近のIFISコンセンサス(300百万円)を24.7%上回る水準だった。
以上のように、業績予想に反して今回の決算が好調だったため、想定を上回る高成長と捉えられた。その結果、株価が大幅上昇し、ストップ高をつけるまでに至った。
なぜこんなに業績が良かったのか
決算短信を読んでみると、サポートサービスが好調だった。
- 従来から行っていた監視業務に加え、運用・分析のサポートサービスの展開
- ネット不正出品を取り締まる「CtoC パトロールサービス」の展開
といったあたりが、好業績に大きく貢献したようだ。
① ソーシャルサポート
成長を続けるソーシャルWebサービス(※4)において、監視・CSだけではなく、運用や分析といった多種多様な新サービスの展開や既存顧客への深耕営業に注力いたしました。加えて、CtoCサービスにおいて、違法性のある取引が問題視されていることを背景に、SNS上のキーワード調査を行うことにより不正取引を検知するCtoCパトロールサービスの提供を開始いたしました。
その結果、売上高は702,005千円(前年同期比27.4%増)となりました。
「CtoC パトロールサービス」について調べてみると、2018年11月にそのようなサービスを開始したようだ。このサービスが利益に大きく貢献できるようになってきた、という事だろうか。
イー・ガーディアン、ネット不正出品を取り締まる「CtoC パトロールサービス」を提供開始(2018/11/20 日経新聞)
また、サーバーセキュリティ分野も好業績に大きく貢献した。この関連で最近、大きなニュースとなっていたのはクラウド型セキュリティサービスを開発するグレスアベイル社を子会社化したことだ。この子会社化が前回同期との大きな違いであるが、こちらもいい影響を与えたのだろう。
イー・ガーディアン、グレスアベイルをグループ会社化(2018/8/3 日経新聞)
サイバーセキュリティ分野におきましては、EGセキュアソリューションズ株式会社が、脆弱性診断サービスに加えWEBセキュリティコンサルティングに注力いたしました。株式会社グレスアベイルは、次世代クラウド型WAFサービス「GUARDIAX」を開発・提供いたしました。WEBセキュリティ業界の第一人者である徳丸浩(EGセキュアソリューションズ株式会社代表)が開発に関与することで品質向上を図っております。「GUARDIAX」はAIによる自動解析制御や高度ログ分析等の高度な機能をもち、サイバー攻撃被害の最小化に貢献いたします。
また、電子デバイス等のハードウェアに対するデバッグ事業におきましては、EGテスティングサービス株式会社が、ソフトウェアのデバッグ事業とシナジーを発揮し、既存顧客への深耕営業や新規開拓を図り、シェア拡大を目指してまいりました。
その結果、売上高は275,381千円(前年同期比43.8%増)となりました。
そのほか、ゲームサポート部門は前年同期比1.8%増、アド・プロセス部門が前年同期比1.1%減だったとのことなのであまり大したことはなかった。こちらの不調をソーシャルサポートとサイバーセキュリティの絶好調で補ったと言える。
今後株価はどうなるか
2020年2月5日15:00時点で、イー・ガーディアンのチャートは次のようになっている。
4日にストップ高となり、5日はもみ合いになりつつも前日よりも株価は上昇、2200円くらいの前回高値も超えてフィニッシュした。そのさらに前回高値である2300円を超えるかどうかが注目だ
2月4日以前の値動きを見てみると、大幅な調整をした後、大きく上昇し、いったん下落していた。チャートの形的には、すでに大底を打ったと思われる。次に示すのはイー・ガーディアンの10年チャートである。
今回の上昇は、業績がコンセンサスを大きく上回ったことによるものである。好業績が実際の数字として表れているものなので、かなり強めの材料だと言える。
大底から強めの材料での反転となると、上昇相場入りの狼煙が上がったという事で、ぐんぐん株価が上昇していく可能性は高いと思う。
ネットセキュリティ分野はまだまだ伸びしろがあるし、人手不足による省力化需要などもあって、成長の余地は大いにあると思う。
上昇相場入りと好業績が絡み合えば、大相場が形成される可能性もある。時価総額も200億円程度と小規模であり、大化けが期待できるなかなか面白い銘柄ではないだろうか。