お金に関してあまり考えて来なかった人が、考えるキッカケにするには良い本だと思う。お金についてこれから考えなければ行けない事項について、やさしく解説されている。
ただし、投資や貯蓄といったマネーの話に詳しい人には目新しい内容はないかも。
著者が女性をいうこともあり女性特有の問題に切り込んでもいる。なので男性よりも女性のほうがおすすめ。とはいっても一部分なので男性でも問題なく読める。
以下ではこの本の目次を紹介しながら、読んで思ったことや印象に残った文章の引用をしていく。目次のタイトルを見て「もっと詳しく知りたいな」と思う所があれば、本を買って読んでみてほしい。
第一章 お金への意識が高まる背景
「お金についてしっかり考えなきゃいけない時代が来てるよー」という注意喚起がメインの章。
1 お金を貯めて叶えたい夢はなんですか?
私がお金をお金を貯めたい理由(資産を増やしたい理由)は、自由を得るためかな。十分に資産があればやりたくない労働をムリにする必要はない。
お金がないから、時間を労働に変えて働いている人がほとんどだと思う。逆にいえばお金があればやりたいことが出来る。
今私は無職だが、可能な限り早く、いつでも仕事をやめれるくらいの資産を築きたいと思っている。資産ができたら仕事をやめるというわけでもないだろうが、「嫌になったらいつでもやめれる」「失敗してクビになっても大丈夫」という安心感があれば、思い切った行動や大きな成果につながるだろう。
2 結婚・仕事・住宅・・・・・・自由な選択をするから、自分だけのマネープランが必要
人生のプランの立て方は人によって違う。今はいろんな生き方ができるから、誰かのプランをパクるのはまずいよね。
特に女性は考えることが多いと書いてある。気になる人は読んでみてね。
3 人生100年時代のマネープラン
国民的アニメ、「サザエさん」のお父さんで知られる波平さんは、御年54歳だそうですが、TV放送が始まった1969年当時、男性の平均寿命は69歳でした。それが2015年には、80歳にまで伸びました。
波平さんは、54歳にしては見た目が老けている気がする。私の父親より年下には見えない。
だが、波平さんは特別老けているわけではなく50年前の54歳はあんなもんだったのだろう。食事や医療などのの発達により、現代の50代60代は大分若々しい。
これからも寿命は伸びていき「人生100年時代」が訪れると言われている。人生が長くなれば、生きていくための資金も多く必要になる。
これまでは年金頼みで老後の生活を送れていたが、これからはそうもいかない。
年金は人間が100年も生きることを想定して作られたものではない。そのため支給年齢を引き上げる事である程度は対応していくはずだ。
しかし、長寿化に加え、若年層の人口が減ることも昔は想定していなかった。2つ想定外のおかげで、ちょっと支給年齢を引き上げれば解決するような感じではなくなってしまった。
政府に年金の安定受給をしろと働きかけることも必要だが、それと同時に自分の身は自分で守るために準備をすることも大切だ。
こういった前提条件の中、人生100年時代を前提に、国の制度に頼り切らず老後を過ごせるようなマネープランを計画する必要がある。
4 低金利の現代、金融商品も多様化した
銀行口座の金利が低下した一方、ネット技術の進歩により、一般人でも手軽に様々な金融商品に手を出せるようになった。
余ったお金をとりあえず銀行口座に投げておくだけでは、なかなか資産は築けない。多様な金融商品をうまく活用することで、資産を少しずつ増やしていくことが大事だ。
ちなみに「少しずつ」というのが結構大事。この話についてはこの本でも後で出てくる。
金融商品の活用法を勉強して、資産形成をより効率化する必要がある。それをしないで、脳死で銀行貯金をする人との格差が広がるだろう。ピケティの『21世紀の資本』で言われているとおりだ。
5 なかなか計画通りにいかない女性のライフプラン
女性は出産や旦那の転勤などのせいで、男性よりもライフプランが立てにくいとのことである。
いろんなことを早い段階で考え、夫婦で相談することが必要になりそうだ。
第2章 現状を把握する
「何にどれだけお金を使っているかわかってるか?」という問いかけの章。自分の消費パターンを把握することはとても大事。
お金が貯まらない人は「なんとなくの支出」が多い。あまり考えず買い物かごに突っ込んでしまう癖のある人は要注意。この癖を直すためにも、現状の見える化は大切だ。
1 あなたの生活は「Sサイズ」?「Lサイズ」?
消費のタイプを著者なりに2つに分類。「自分はSサイズとLサイズのどちらなのか」を判断することがお金と向き合うための第一歩であるとのこと。
私はSサイズ(省エネ体質)だな。まず流行りには敏感じゃない。iphone6sを3年半使い続けている。服もユニクロだらけ。
趣味も読書、ゲーム、筋トレなどなど金のかからないものばかり。「株式投資」はどうなんだろうな。余剰金でやっている長期投資だし、金はかからないほうだな。
2 「1000万円貯める」のはゴールではない
貯金は目的はなく手段である。貯めたお金を何に使うかまで考えるべき。使う先がないのに、使わないで貯めてばかりでは人生はつまらない。
「〇〇をしたい!」 ➔ 「だから✖✖円必要」という流れが必要だ。増やすことだけが目的になると、お金はあっても豊かではない人生になってしまう。
3 「一年単位でまわってくる支出」に要注意
お年玉、誕生日プレゼントなどの、年に一回の支出は忘れがちだから気を付けろとのこと。
ほかにも、おすすめの家計簿アプリに関することが書いてあったりする。
4 「みんなはどうしているんですか?」:平均は参考にならない
人によってお金の使い方は異なるので、他人の話は参考にならないことも多い。さらに「平均」という数字は一部のお金持ちが数値を釣り上げていたりするので要注意な指標だ。
「他人は他人、自分は自分」なので、あまり惑わされてはいけない。
5 人生の「3つの貯めどき」と「3つの支出」
- 独身時代
- 結婚してから子供が小学生の間
- 子供が大学を卒業してから自分が退職するまでの間
これが3つの貯め時らしい。逆にいえば、子供が中学に上がる頃から大学を卒業するまではお金がかかるということ。この時点でお金がないと、「十分な教育を与えられない」なんて事になりかねない。
「子供が大学を卒業してから自分が退職するまでの間」も子供が私みたいに就職後即就職師な場合もあり得るので、当てにしすぎないほうが良いかもしれない。ほかにも大学院まで進んだりした場合、この稼ぎ時の期間は短いものとなる。
早く私も就職せねばな。あと半年以内には決めたい。
colum 貯まらない人の「お金の就活習慣病」
さっき書いた「なんとなくの支出」が多い人について書いてある。これは「お金の生活習慣病」であると著者は言う。こういう人は、皆お金がたまりにくい。
意識的に直していかないと、これはなかなか改善できないだろう。
第3章 シンプルに貯める
1 お金を3つのポケットに分ける
- 日々使う生活費
- 毎月使う固定費
- 将来のための貯蓄
支出をこの3つに分けることで、消費のコントロールをしやすくなる。
「生活費が多すぎ」「貯蓄少なすぎ」「この固定費が削れるかも」そういったことを考えやすくなる。
2 お金の流れをシンプルに整える:ATM・クレジットカード・銀行口座
「ATMから金を下ろすのは一ヶ月に一回」「口座は貯金用と消費用に分けろ」「経費用のクレジットカードを作れ」といったテクニックについて解説されている。
貯蓄用の口座は証券口座がオススメ。
3 自動的にお金が貯まっていく仕組みをつくる
「余ったお金を貯金する」ではなかなか貯まっていかないので、「最初に貯金をして、余ったお金で生活する」に切り替えよう。そんな事が書いてある。
こうすれば一定のペースでお金が溜まっていくのでいろいろと計算もしやすい。
銀行の自動積立やNISA・iDeCoといった積立投資のシステムを活用するテクニックについても述べられている。これらは貯金の目的によって、どのシステムを活用するべきか選ぶ必要がある。
4 クレジットカードのポイントは、低金利時代の利息代わりと考える
「カード払いはとても便利だしお得、でも初心者は使いすぎに注意してね」といったことが書いてある。明細がアプリで見れたりするのはたしかに便利。
「低金利時代の利息代わりと考える」という表現は、イマイチしっくりこなかった。
5 支出は収入を上限に膨らむ:パーキンソンの法則
「収入が増えても貯蓄が増えるとは限らない」これをパーキンソンの法則を使って説明している。
お金を貯めるには収入を増やすことも重要だが、それだけでは貯まらない人もいる。「お金を貯める」「支出を抑える」という意識を持たないとダメだということ。
column 仲良し夫婦はお金が貯まる法則
仲が悪いと、腹を割ってマネープランを相談し合うことができない。そうなるとなかなかお金も貯まらないという話。
第4章 使えるお金をシンプルに増やす
1 小さな我慢を重ねるより先にできる節約術
日々の生活費よりも固定費を見直すほうが、楽で効果的に支出を減らせるという話。
保険料や通信量、電気料金といった固定費は当たり前に払うものだと思って、ずっと同じ契約を継続しがち。しかし、これらのプランは日々新しいものが出てきているので、定期的に見直さないと損をする可能性もある。
私も3年くらい同じジムに通っているが、最近は近くに新しいジムができたりしているので、乗り換えによってジム代を安く出来るかもしれない。
2 手取り収入を増やす、節税テクニック
個人で利用できる節税制度は意外と多い。しかし、それを活用できている人は少ない。税金について勉強しよう。おすすめの節税制度はこれだ!
こんな感じのことが書かれている。「どんな節税テクニックがあるんだろう」と気になった方は本書を読んでみよう。980円(税別)の元は簡単に取れるだろう。
3 NISA活用法
NISAを活用すれば投資で得た利益に発生する税金を抑えられる。これも節税制度の一つと言える。
うまく活用すれば資産を効率的に増やせるので、勉強する価値はある。
「NISA」と「つみたてNISA」の2つがり一方しか利用できないが、私は「つみたてNISA」の方をおすすめする。こっちのほうが節税効果が高いからだ。
4 話題の年金・「iDeCo」
こちらも積立投資の節税制度。NISAと違い60歳まで引き落とせないが、節税効果はNISAよりも高くなっている。
これは年金枯渇問題に対応する制度だ。「年金払えないから、これ使って自分で年金作ってね。税制は優遇しておくからさ」といった感じの制度だ。
細かい説明については本書を読むといい。iDeCoの話で一冊の本になっている書籍もたくさん発売されているから、本格的にiDeCoをやりたいならそっちも使って勉強しよう。
column お金を増やす4つ目の裏ワザ:「贈与・相続」
相続についての話。2世代にまたがってお金のことを考える必要がある人もいる。そういった点の注意喚起だ。
第5章 シンプルに投資する
1 投資は本来、参加した人全員が得するもの
投資は損をする人と同じ数だけ損をする人がいる、そんなイメージを持っている人も多い。しかし、株式市場は長期的に見ればプラスサムゲームであり、みんなが得できるようになっているのだ。
まずはこの部分を理解するところが、投資の世界へ足を踏み入れる第一歩である。
2 投資は長いスパンで考える
株式相場には天井と谷が存在する。短期的な目線で考えると天井で購入してしまい、なんか損した気分になる。
しかし、底と天井を繰り返しながら、緩やかに上昇し続けるのが株式市場だ。まともな銘柄を選べれば、仮に一時的な天井で株を買ったとしても、10年後にはプラスになっているものだ。
3 投信積立は、値が下がっても利益が出る
定期的に投資信託を一定額買っていくので、天井のときはあまり買えないし、底の時はたくさん買える。
一時的な値下がりは、長期的に見れば大した影響はない。むしろたくさん株を買えるので、チャンスだ。定年退職後のご老人ならともかく、まだ若い人なら相場の下落はむしろ喜ぶべきである。安値で大量買して将来的に爆発するのだから。
4 1年、2年の短いスパンで利益を出そうとしないこと
短いスパンで利益を出そうとすると、タイミングをみて「安い時にかって高い時に売る」ということが必要になる。
しかし、株の値動きの予想は非常に難しく、タイミング売買で利益を出し続けられる人はかなり希少な存在だ。なのでやめておいたほうがいい。
5 外貨の王道はやっぱりドル
外貨投資をするなら、王道のドルがいい。そんな話
個人的には外貨投資はオススメしない。株式以上に読めない。しかも、株式投資と違いゼロサムゲームなので激しい戦いになる。ただし、円一点張りは危険だという考え方は重要ではある。
column お金に愛されるマダムたちの3つの特徴
お金持ちのマダムは、自分なりの投資手法を築けているし、情報にも敏感。そんな話。
第6章 シンプルにお金を使う
1 老後資金を計算できる方程式
老後の資金は計算で求められる。闇雲に貯金をするのではなく、いくら必要なのかを知り計画を立てよう。そんな話。
計算方法については、本を買って読んでいただきたい。
2 「持ち家か賃貸か」問題は仕事と住まいの流動性で決める
そんなの人によって違う。自分の状況を理解して、どうするのか決めよう。という話。
ただ、よく考えずにマイホームを買おうと思っている人は多いので、「賃貸のほうが得かもしれない」と一度考えてから購入したほうが良いと思う。
そう言えば元楽天・ヤクルトの一場靖弘さんがマンションのローンを払えずに自己破産したらしい。家を買うならしっかり計画を建てることが必要だな。
3 教育費は「大学進学までに300万」を目安に決める
このくらいはかかりますよ、という話。
4 女性は早めに医療保険に入っておく
女性は出産があるので、病院に早い段階で世話になる可能性が高い。なので保険に入るなら早めが良い。そんな話。
他にも男性と女性では病気のリスクに対する考え方が異なってくる事に関する解説も載っている。
column 節約しすぎて自己投資を忘れていませんか?
貯金ばっかりして自己投資を怠ると、生涯収入が減ってしまう。特に若いうちは運用できる資産が少ないので、自己投資にお金を使う割合を増やしたほうがいいのではないだろうか。
この記事のまとめ
お金の使い方、資産運用について何もわからない、というような人向けの本だったと思う。
詳しい人が読めば知っていることばかりでつまらないかもしれないが、「他の似たような本は難しいよ~」という人にはとてもわかりやすそうだと思った。
一つ一つの話題に対して、せいぜい5ページくらいで説明しているので、パッパと読めて飽きも来づらい。コンパクトな本で文章量も抑え気味。そういった点でも初心者にはいいのではないだろうか。