通信計測器などの製造開発をおこなうアンリツの、2021年3月期第1四半期決算が発表されました。
内容を見てみると売上は前年同期比で約1.1倍、営業利益は1.9倍になったとのことです。新型コロナウィルスの影響で不調に苦しむ企業が多い中、なかなか強烈な決算ですね。
決算短信の中身を見てみましょう。
アジア地域ので5G需要増で計測事業が絶好調
アジアではまず韓国で2019年4月に5Gサービスの商用化が開始され、同年11月には中国もスタートしました。日本でも一部の地域に限りますが、今年の3月から開始されましたね。
アジアではこの韓国、中国、日本の3カ国が牽引役となり5Gサービスが広がりつつあります。フィリピンでは2019年7月に5Gのサービスが一部で開始、カンボジア、タイ、ベトナムなども続こうとしています。
フィリピン、タイ、インドネシアといった東南アジアの国々は世界的に見ても一人あたりのインターネット利用時間が長く、人工も増加していることもあり、通信量を逼迫しつつあります。
(参考)ネット利用時間の最多はフィリピン、最少は日本 国際調査(CNN)
そういった背景もあって、アジア地域では大容量・低遅延・同時接続に強いという特徴を持つ5Gの需要は特に高いのです。
アンリツもこの流れに乗って、アジア地域での5G開発需要の拡大の恩恵を受けたようです。
当第1四半期連結累計期間は、5Gチップセット及び携帯端末の開発需要が順調に推移しました。特にアジア地域において、5G商用化に向けた開発需要が拡大し、5Gビジネスを牽引しました。
他にもネットワーク高速化関連の需要も獲得したとのこと。これら計測事業が前年比約1.8倍の利益を獲得、アンリツ全体の9割以上の利益を稼ぎました。
アフターコロナでも5G需要は増加しそう
ここからは私の感想的なものです。
海外の5G需要の増加のおかげで利益が増えた形ですが、日本でも新型コロナウィルスの影響も受け、徐々に5G需要が拡大しそうな気がします。
人混みをさけ、ソーシャルディスタンスをとるために、IT技術の活用が更に進むと思われますが、そうなってくると通信量が増えます。
仕事はテレワーク、遊びも通信を活用したものが増えていくのではないでしょうか。遠隔医療やオンライン学習の普及しそう。そうなれば5Gの需要も増えてくるはずです。
セキュリティも重要になる
この流れにはセキュリティ分野も乗ってきそうです。通信量が増えれば守るべきデータ量も増え、セキュリティ技術に対する需要も増えるはず。
セキュリティが不安だと5Gによるデータ活用に対する不安が大きくなってしまうので、5Gビジネスが大きな波に乗れるかはセキュリティ技術が鍵になってくる、とも言えるでしょう。ユーザが不安を抱えた状態では、サービスの普及は難しいと思われます。